第2章 風神竜と謎の男
第9話 風神竜の帰還
[1/7]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
翌日、遊雅はいつもと変わらないように登校した。
クラスメート達といつも通りの挨拶を交わし、自分の席につく。
そこで、遊雅に挨拶をしようと彼の顔を見た亜璃沙は、ある異変に気付いた。
「おはよう、遊雅。……あれっ?どうしたの?それ」
「ん?あぁ、これか。まぁ、昨日ちょっと色々あってな」
「ふーん……そう。気をつけなさいね」
彼女が気付いたのは、遊雅の頬の絆創膏。
昨夜、あの謎の男の襲撃の時に地面にこすって出来た傷をかばうための物だ。
「遊雅、怪我したの?大丈夫?」
後ろから遊雅の顔を覗き込むようにして話しかけて来たのは秋弥だった。
「おう。大した事ないぜ。ただの擦り傷だからな」
「そっか。気をつけてね、遊雅」
「ああ、ありがとよ」
間もなく、授業が開始する。
それに集中しつつも遊雅は、時々あの男の事を考えていた。
◇◆◇◆◇◆◇
放課後、遊雅と亜璃沙は楠田の元を訪れていた。
理由は勿論、《フレスヴェルク・ドラゴン》の事を聞くためだ。
「それで、先生。フレスヴェルクはどうでしたか?」
「ああ。昨日言った知り合いに見てもらったんだが……やはり、見覚えはないそうだ」
「そうですか……」
2人の落胆した様子を見た楠田は、続いてこのように告げた。
「しかし、まだ可能性はある。この後、デュエル・モンスターズ協会にあのカードを持って行く予定だ。協会が用意したデュエル・ディスクで、《フレスヴェルク・ドラゴン》の動作試験をするためにな」
「本当ですか?」
「ああ。それをパスすれば、晴れて公式大会での使用も可能との事だ。君のディスクで読み込んだならば、協会が用意した物でも大丈夫だろう」
「よかった……あっ、じゃあすみませんが、この2枚もお願いしてもいいですか?」
そして遊雅は、自分のデッキケースから《風神竜の復活》と《風神竜の弔い》を取り出して、楠田に手渡した。
「なるほど、《フレスヴェルク・ドラゴン》のサポートカードか。確かにこの2枚も試験を受けておいた方がいいだろうな。受け取っておこう」
「ありがとうございます。それじゃあ、よろしくお願いします」
楠田に深々と頭を下げてから、遊雅と亜璃沙は学校を後にした。
今日は楠田がデュエル・モンスターズ協会に赴くため、部活は休みとなっている。
竜兵と海堂はおろか、秋弥も用事があるとの事で先に下校していた。
まだ桜が咲き誇る通学路を、2人で並んで歩く。
そんな時に亜璃沙は、朝からずっと抱いていた疑問を、遊雅にぶつけた。
「ねぇ、遊雅。その傷の事だけど」
「傷?……あぁ、これか。どうした?」
「それ、さ……どうして、ついたの?」
「どうしてって……転んだだ
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ