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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十六話 齟齬
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「受け入れて貰う、そうでなくてはこれから先、戦う事が出来ない。覇者には冷徹さが必要だ」
シンとした。皆で顔を見合わせた。特に反対する人間は居ない。

「良いだろう、ではこの問題は総参謀長に任せよう」
私が言うと皆が頷いた。正直進んで請け負いたい仕事ではない。総参謀長がやると言うなら任せるまでだ。どう繕うかという問題も有るが事実無根と否定するか、捏造と非難するかぐらいしかない。

「私からも卿らに頼みが有る」
「……」
「この映像だがおそらくはオーディンの貴族達にも流れている」
総参謀長の言う通りだ。メックリンガー提督に渡したように何人かの貴族に流れている筈だ。

「オーディンが混乱するのは面白くない。補給の事も有るがオーディンにはグリューネワルト伯爵夫人が居る。夫人の件でローエングラム侯が混乱するのは最小限に留めたい。夫人の安全を守り貴族達の軽挙妄動を防ぐには勝利が必要だ。勝っている限り貴族達はこちらを怖れて動く事は無い。……必ず勝ってくれ」
「勝手な事を、夫人を危険にさらしたのは卿だろう」

メックリンガー提督が非難したがオーベルシュタイン総参謀長は何の反応も見せなかった。必ず勝ってくれか、簡単に言ってくれる、先ずは辺境星域だな。別働隊がリッテンハイム侯に勝てるかどうか……。



帝国暦 488年  9月 22日  キフォイザー星域  ワーレン艦隊旗艦 サラマンドル  アウグスト・ザムエル・ワーレン



「決戦はここか」
参謀長のライブル准将が呟くと副官のハウフ中尉が頷いた。二人の表情には何処かホッとしたような安堵の色が有る。気の所為ではないだろうな、俺も何処かで決戦を望んでいる。

辺境星域平定の任に就いてから既に七十回を超える戦いを行った。いずれも大規模なものではないが度重なる戦いで将兵には疲れが出ている。昨年の焦土作戦の所為だろう、我々に対する辺境星域住民の敵意は決して小さくは無い。その事が七十回を超える戦いという抵抗に結びついている。

焦土作戦……。短期的には反乱軍の補給体制を破壊し帝国軍に勝利をもたらした。しかし今回の内乱、特に辺境星域の現状を見れば間違いなく失敗だった。ルッツ提督、キルヒアイス総司令官も内心ではそう思っているだろう。口には出さないが現在の状況に頭を痛めている事は明らかだ。

特に先日、ローエングラム侯がヴァレンシュタイン提督に論破されてからは辺境星域の抵抗はこれまで以上に酷くなった。既に平定した地域も不安定な状況に戻りつつある。将兵達の士気も決して高くない、勝っているのに皆ウンザリといった表情をしている。

「ここで勝てばかなり楽になる筈です、閣下」
「そうだな」
参謀長の言う通りだ。ここで勝てば戦局はかなり楽になる。味方の士気も上がるし辺境星域の人間
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