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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十六話 齟齬
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あるリヒテンラーデ公はその辺りに敏感に反応したのだと思う」
「……」
「反乱軍を撃破すれば帝国の安全保障は問題無い。となればローエングラム侯の存在価値、利用価値は激減する。つまり価値よりも危険度の方が高くなるのだ。リヒテンラーデ公が排斥を考えるのは当然といって良い」
「ではあのままでは焦土作戦を執らなくてもローエングラム侯は排斥されたと言うのか」
「その通りだ、ビッテンフェルト提督。侯は排斥され我々も宇宙艦隊から追われた筈だ」
ビッテンフェルト提督が面白くなさそうに“フン”と鼻を鳴らした。
「しかし、だからと言って……」
ミュラー提督が口籠った。皇帝暗殺とは口に出来なかったのだろう。
「排斥で済めばよい、場合によっては命を奪われる者も出ただろう。ロイエンタール提督、卿とミッターマイヤー提督は特に危ない。否定出来るかな?」
「……いや、総参謀長の言う通りだ。否定はせん」
ロイエンタール提督が苦い表情で肯定した。これで彼は皇帝暗殺を非難し辛くなったな。オーベルシュタイン総参謀長が皆を見回した。
「我々が生き残るには我々が必要とされる状況を作り出す必要が有った。反乱軍が役に立たなくなる以上帝国内において軍事的緊張を作り出さなければならない。誰もが強大な武力を必要とする状況だ……」
「それが皇帝暗殺か」
メックリンガー提督が呟くと皆が顔を見合わせた。
「皇帝が死ねば次の皇帝を誰にするかで紛争が起きる筈だ。リヒテンラーデ公、ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯、最善はリヒテンラーデ公と手を結ぶ事だが誰と組んでも良かった。敵を潰し最終的に組んだ相手を潰す、それで全てが解決する筈だった」
「現実にはかなり苦戦しているな」
ビッテンフェルト提督が皮肉ったがオーベルシュタイン総参謀長は“そうだな”と言って何の反応も見せなかった。
「反乱軍との戦いに手間取る事は出来ない。圧倒的に勝ち次の内戦に備える必要が有った。リヒテンラーデ公をこちらに引き寄せるためにもだ。焦土戦術を使ったのはその為だ」
オーベルシュタイン総参謀長が口を閉じた。皆無言だ、思いがけない真相を聞いて困惑しているのかもしれない。
「総参謀長、ローエングラム侯は知らないのだな?」
私が問い掛けるとオーベルシュタイン総参謀長は無言で頷いた。誰かが溜息を吐いた。
「如何するつもりだ? 貴族連合に知られた以上いずれは侯も知るだろう。侯が知れば……」
また誰かが溜息を吐いた。ローエングラム侯の反応を考えたのだろう。
「ローエングラム侯には私から話す、卿らは心配せずとも良い」
「話すと言っても如何話すつもりだ?」
メックリンガー提督が問い掛けるとオーベルシュタイン総参謀長が微かに笑った。
「小細工はしない、ありのままに話す」
「しかし、それでは
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