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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十六話 齟齬
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が皆の怒りに火をつけた。

「自分が何をしたか分かっているのか?」
「焦土作戦など行うからだ!」
「同感だ、あれの所為で兵の士気が下がりっぱなしだ!」
「この上弑逆者等と言われたら……」
「どうにもならん!」
皆の責める言葉にもオーベルシュタインは微動だにしなかった。自分が責められていると分かっていないのではないか、そう思わせる態度だ。

「已むを得なかった。生き残るためには仕方が無かった事だ」
「焦土作戦など行うからだろう!」
ビッテンフェルト提督の怒声にオーベルシュタインが首を横に振った。
「焦土作戦を執ったから、それが原因で排斥されそうになったから皇帝を暗殺したと卿らは思っているようだがそれは違う。先ず最初にローエングラム侯排斥が有ったのだ。我らが生き残るためには焦土作戦を執り皇帝を暗殺せざるを得なかった」
皆が顔を見合わせた。“どういうことだ”とメックリンガー提督が押し殺した声で質問した。言外にいい加減な事を言う事は許さないという響きが有った。

「ローエングラム侯排斥の動きが出たのは焦土作戦を執る前の事だ。フェザーンから反乱軍が大規模出兵を企てているとの連絡がリヒテンラーデ公に入った、その時ローエングラム侯の排斥がリヒテンラーデ公とゲルラッハ子爵の間で討議された」

「リヒテンラーデ公? ローエングラム侯排斥を企てたのはブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯ではないのですか?」
ミュラー提督が問い掛けるとオーベルシュタイン総参謀長は“違う”と否定した。ミュラー提督だけではない、皆が驚いている。首謀者はリヒテンラーデ公か……。しかも排斥の動きは戦いが始まる遥か前、にも拘らず戦後は手を結んだ……。

「ローエングラム侯排斥の首謀者はリヒテンラーデ公とゲルラッハ子爵だ。ブラウンシュバイク公、リッテンハイム侯はリヒテンラーデ公の誘いに乗ったというのが正しい」
「ワイツ補佐官がそう言ったのか?」
私が問うとオーベルシュタインは“そうだ”と言って頷いた。

「だからヴァレンシュタイン提督がリヒテンラーデ公を厳しく叱責したのだ。誘っておきながら土壇場で掌を反した、そしてブラウンシュバイク、リッテンハイム両家は反逆者になった」
「しかし、それでは……」
メックリンガー提督が何かを言いかけ途中で口を噤んだ。おそらくは怒るのも無理は無い、そう言いたかったのだろう。

「元々貴族達はローエングラム侯に対して良い感情を持っていなかった。成り上がりという点で蔑視し覇気が強すぎるという点で危険視していた。そしてローエングラム侯は元帥府を開くと平民、下級貴族出身の卿らを艦隊司令官に登用した。貴族達には新たな政治勢力、敵対勢力の誕生と見えた筈だ。平民達に政府への不満が募っていた事も侯を危険視させる一因だっただろう。政府首班で
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