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世にも不幸な物語
第六章『辻斬り現る』
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女性も侍とほぼ同時に斬りに掛かった。
 ギンギンギンギンギンッ!!
 金属同士がぶつかり合う音が激しく鳴る。
 唖然とした。まるで夢でも見ている気分になった。飛び交う斬撃、交差する刀、鳴り響く金属音、凄まじい斬り合いだ。時代劇で見るような斬り合いとは比べ物にならない。今、輝の目の前で行われている斬り合いは本当の斬り合い、剣士と剣士の斬り合い。
 輝は動けなかった。二人の斬り合いに見入ってしまったのもあるが、それ以前に恐れてしまい動けなかった。侍と女性は、ほぼ互角と見えていたが。
「!?」
 侍が押され始めた。よく見ると侍の着物に斬られた跡が所々に出来ていた。対する女性の方は斬られた形跡は見られない。侍と女性の強さは女性の方が上回っている。
 自分も加勢しようかと思ったが、返って足手まといになるだけだ。一旦引くか?嫌駄目だ。活動時間も残り1分も無い。侍も残り時間が少ないと解かり、勝負を賭けた。
 左から来る刀の攻撃を止め、二撃目に来た長刀の攻撃をバックステップで避けた。二人の間合いが開いた。女性は大振りに振るった為一瞬隙が出来た。侍はその一瞬の隙を突き、一気に間合いを詰め、横一閃に刀を振るった。
 だがそこには誰もいない。
「甘い!」
「なっ、マジかよ!」
 声がしたのは上からだった。
 侍の横一文字斬りをジャンプして避けていた。女性は落下速度を利用して侍に攻撃を仕掛ける。侍はその攻撃を受け止めようとしたが無残にも侍の刀は真っ二つに折られ、そして女性が着地したのと同時に侍を左腰から右肩までを斬った。
「侍!」
 左腰から右肩まで斬られた侍は崩れ落ち、地へ帰っていった。
「・・・・ヤバイな、こりゃぁ」
 最悪だ。今の状況は最悪の中の最悪だ。
 だけど輝は何故か冷静だ。自分でも不思議なくらいに冷静に今の状況を考えている。たぶん、否、確実に次は輝を斬りに来る。つい一時間程前に映姫と冗談で『上で死んだら小町の代わりに死神やらない?』と言う会話をしたと言うのに、上に行く前に現実になりそうだ。
「はは」
 こんな事を考えたら不思議と笑ってしまった。
「何を笑っている?」
「ん?いやぁただ死んだ跡の就職先が早々に決まったもんでつい笑ってしまっただけですよ」
「可笑しな奴だな」
「そりゃぁどうも」
 見栄を張っているつもりだが、心中は穏やかではない。屍は後五分経たないと出せないし、体力は万全じゃない。むしろ、すべてが万全であっても勝てるかどうか解からない。
 挑発をしてみるか?いや無理に近いだろ。あっちは実戦経験を積んでいるに違いない、輝みたいな奴の挑発に乗る訳が無い、むしろ挑発した所で火に油を注ぐだけだ。
「さて、次はお前だ」
 耽々と女性は構えた。
「やっぱり?」
 本当に殺された洒落にない。女性も女性だ。自分如
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