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101番目の舶ィ語
第十八話。始まりの終わり
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ないらしい。
魔女は、知識が豊富だから……様々な予想や予測は既に終わってしまっているようだ。
だからキリカが予想外の返事の時に大笑いしてくれたのも、今なら納得出来る。

『今の彼女はとても油断しています。だから、今私がころ……』

(待ってくれ!)

おそらく一之江のこの声は俺だけに聞こえるもの。
だから俺も心の中で強く彼女を止めた。
一之江にキリカを殺させる?
そんな事、出来るわけないだろう。

「キリカ!」

俺はキリカの顔に、自分の顔を近づける。
間近で見るその瞳は、爛々と赤く輝いて……とても、綺麗だ。

「あはっ、流石だね、モンジ君。私をこんなに楽しませてくれたのは君が初めて。正に初体験の相手は君だねっ!」

「その言葉は違う所で聞きたいな……君はとても魅力的だからね!」

ヒステリアモードの俺がそう言うと、キリカは恥ずかしそうに顔を赤くして、一之江は俺の背後をツンツングサーッと何か尖ったもので刺しやがった。

「痛だだだだっ」

「真面目にやりなさい」

「どうする?私を瑞江ちゃんに殺させる?」

キリカがそう言うと、一之江の殺気が背後で高まっていくのを強く感じる。
背後の一之江の事を考える______
一之江(コイツ)はキリカとも仲良くしていたが……ここで『ロア喰い』を殺さない選択肢を選ぶほど、優しくもないな。
キリカはどこか満足している表情をしているし……仕方ねえ)

『ロア喰い』を、キリカを一之江に殺させるという選択肢は却下。
キリカは満足した表情で、まるで自分の予想を超えた存在になら、殺されてもいいかのような笑顔を浮かべているが殺害なんて出来ない。
かといって、このまま見逃すなんて出来ない。
なら俺がすべき事は……。

「いや、俺はこうする!」

俺は制服のポケットに手を入れて中かDフォンを取り出して______

「何を??」

一之江の声はスルーして。

ピロリロリーン!

キリカの、その笑顔をカメラに収めた。

「ふえ?」

「これで嘘じゃない記録が出来たね。君はもう俺の大事な物語だ!」

俺が告げると、背後で絶句したかのような気配かあった。
だが、俺はキリカの返答があるまで、じっとその瞳を見つめる。
見つめているとキリカの顔がみるみる赤くなって……

「ぷはっ!あははははははは?? お、面白い、面白いよ、モンジ君っ!あひ、あははははは?? うひゃー、苦しい!ダメ、笑いしぬ! あははははは!」

「あれ? 俺今おかしな事言ったか??」

キリカの爆笑っぷりは予想外だった。

「あははははは?? ううん、凄く格好良かったけどね。
モンジ君っ! って言って思わず泣きながら抱きついてもいいかなー
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