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101番目の舶ィ語
第十八話。始まりの終わり
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あ、人の事は言えねえけどさ。

「それでは、言いたい事を好きなだけ叫んで下さい」

「ああ。任せて。ちゃんと伝えるから」

俺は顔面と全身を覆う蟲達をさらに素手とスクラマサクスの刀身で蟲達を軽く払うと、キリカを軽く睨みつけながら叫んだ。

「キリカ!」

「モンジ君?」

きょとんとした直後……真紅の目が、とても濃密で魅惑的な視線をしながら俺を見た。
食べたくて食べたくて仕方ない。ご馳走を見つけた。そんな風に俺を見ている目だ。

「俺は、君ともずっと一緒にいたいんだよ!君が魔女だろうとなんだろうが関係ない!」

トン、と背中が押された感触がある。
俺は、その勢いに乗って走り出そうとする。
だが、その一歩は蟲達に完全に挟まれている身では、踏み出す事は出来ない。

「あはっ!無駄だよモンジ君!その足は完全に封じているからね!」

「その距離を無意味にするのもまた、私のロアの能力です」

一之江が俺の背中で告げると、俺の背に手を当てたまま言う。

「さあモンジ、行きたい場所を叫びなさい」

「俺はキリカの側に行く!」

そう、叫んだ瞬間だった。
不意に足が軽くなった。
いや、足だけじゃない、自分の身体が本当に『一瞬』で、キリカと俺の距離を詰めていた。
これは……『短距離(イマジナリ・)絶界橋(ジャンプ)』か?
疑問に思う間もないくらい、技の発動をほとんど感じる事ないくらいあっという間に移動していた。
どうやら俺は猴や孫が使う『?斗雲(きんとうん)』のような『瞬間移動(テレポート)』の能力でキリカの側まで移動したようだな。それも一瞬で。

「え、凄い!」

キリカの声で我に返り後ろを振り向かないように気をつけながら元々いた場所を見ると……足を捕らえていた蟲達が、いや、俺の全身を包んでいた蟲達は、元々俺がいた場所に置き去りされたままだった。
俺の全身を覆っていた蟲達が置き去りにされた事実から考えるとどうやら一之江の持つ能力は、彼女が使えば俺にも使用出来るという事になるようだな。

「『想起跳躍(リンガーベル)』です」

「凄い、凄いね!言葉を聞いた対象の場所に、空間を超えて移動する能力……瑞江ちゃん!モンジ君!貴方達、本当に凄いよ!」

間近に迫ったキリカが、目を大きく見開いて俺達を賛辞してくれていた。
……おそらくだが、本気で純粋に喜んでいるのだ、この顔は。

『自分の予想を超える相手。それが魔女の弱点です』

耳の後ろからではなく、頭の中にその声は響いてきた。
ああ、こうやって聞かせるから、電話がなくても『もしもし私よ……』は聞こえるのか、と妙な納得をしつつ、同時に一之江の思考が流れてきた。
魔女の弱点っていうのは、どうやらどの時代でもあまり変わら
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