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101番目の舶ィ語
第十八話。始まりの終わり
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んな早朝から俺が勝手に出歩いて、コード探しなんてしたせいで魔女に挑んで消えそうになっていたからだ。
俺が消えたら一之江の噂にマイナスな事になるからな。俺が消えれば一之江はあっさり殺られたマヌケな主人公に捉えられたロアとか呼ばれるらしいからそれで怒っているんだ。
きっとそうだろう。

「なるほどね。大体正解かな?」

「まあ、その『正解』の言葉も信じませんけどね」

「魔女の口車だもんね」

「ええ。乗るのはよっぽどのお人好しか、バカだけです」

これも多分俺の事なのだろうな。
だが、ハゲという所だけは後で否定しなくては。

「これでモンジ君の能力も全部解ったよ、瑞江ちゃん。『百物語の主人公』には、手に入れたロアを自分の能力のように使役する事が出来る……」

「ええ、そのようです。私も昨晩知ったばかりですけどね」

「なるほど……それは……おっかない能力だなあ」

キリカの声に、剣呑な響きが交ざった。
今までは余裕のある可愛い魔女的な乙女の声だったが、今、彼女の内部でスイッチが変わったみたいだ。
まるで、理子が『裏理子』になるように。

「おっかな過ぎて、すっごい興味が湧いてきたよ!」

どこか病的な空気を含む口調で、魔女として、調べずにいられない実験体を前にしたかのようなそんな感じで俺を見つめている。
彼女の中で俺は『ただのお友達役』から『興味対象』に移行したようだ。
その目を見つめると彼女の中に引き込まれそうになる変な感覚を感じた。
正しく魔女だ。その内側に、どんな深い闇を秘めているのか、想像もつかない。

「彼女は貴方が思っているような善良な存在ではありませんよ?」

一之江が背中から警告してくれるが、それも解っているんだ。
キリカという魔女は、それこそ倫理的に許されないくらいに大量の犠牲者とか、悪い事なんかを繰り返し続けて、ここに存在しているのだろうからな。
だけど、それでも。
そんな程度で俺の心を折る事は出来ないんだ。

「フゥ」

一之江の呆れたような溜息が背後から聞こえた。何故だかその溜息が、彼女の吐息を感じるだけで心強く感じる。

「……蟲さん達。こちらを向いて……」

一之江が呟きながらその手を俺の口元に触れさせると、その周囲にいた蟲達がシュワッと消滅していった。
『振り向いた相手を確実に抹殺する』。
蟲達すらも、その状態の一之江のルールには逆らえないのか。
一之江の声に、彼女の姿を見て確認してしまった蟲達は、成す術なく消滅していった。
これが一之江のロア、『メリーズドール』の能力……。

『見返り(メリーズ)殺害(ピリオド)』!初めて見たけど凄いね!」

キリカの歓喜した声が聞こえた。
なんだその中二病な名前は……。
いや、ま
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