新しい力
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「ようこそ、ベルベットルームへ。お久しぶりですな、稀なるお客人よ」
どうにか高速召喚を成功させ、意識を失ったはずの透真を迎えたのは、聞き覚えのある声だった。周囲を見渡せば、大海を思わせる幻想的な蒼が部屋内を染め上げ、荘厳なピアノと歌声が耳を震わせる。そして、何より目の前にいる特徴的な人物がここがどこかを明瞭に理解させた。
「イゴール……ということは、ここはベルベットルームか。確かに1年ぶりになるから、久方ぶりといえばそうだが、別に来たくなかったわけじゃないぞ。来る事ができなかっただけで」
好意の申し出を受けておきながら、全然顔を見せていなかったことに気づき、透真はなんとなくばつが悪くなり、言い訳がましいことを言う。だが、まあそれはどうしようもないことではある。この1年、透真は雷鋼の課題という名の地獄にいたのだ。それをこなすのに必死で、他の事に気を回す余裕は皆無であったのだから。加えて言えば、雷鋼の目を逃れてベルベットルームへ来る事も不可能であったから、確かに仕方のないことかもしれない。
「いえいえ、別に責めているわけではありません。我等は求められれば、力をお貸ししますが、無理に使っていただく必要はないのですから」
「そうか、そう言ってもらえるなら助かる。そいや、今回はなんの用でここに?俺は来ようなんて思ってなかったんだから、呼んだのはそっちなんだろ?」
「ええ、今回お呼びだてしたのは他でもありません。貴方の新しい力についてです」
「新しい力?ペルソナの高速召喚のことか?あれは新しい力というよりは技術じゃないか?」
「ふふ、確かにペルソナの高速召喚は素晴らしい技術だと思いますが、違います。私が言っているのは、貴方に宿りし血の力についてです。ご存知ありませんかな?」
「宿りし血の力?おいおい、うちの家系は一般市民もいいところだぞ。精々、父方を遡ると寺社仏閣に連なるぐらいで、母方は農民の出らしいからな」
「いえ、元々宿っていたものではありません。後天的に得たものだと思われます」
「後天的に?血に宿るのにおかしくないか?そんなことありえるのか?」
「私も詳しくは知りません。ただ、私に分かるのは貴方に新しい力が備わったこと、そしてそれが宿りし血によるものだということぐらいしか。申し訳ありません」
「いや、分からないからって、あんたを責めるのは筋違いだ。すまない。
それで、新しい力とやらは説明してもらえるのか?」
「はい、そちらは問題ございません。簡単に言えば新しいペルソナでございます。前回の貴方様には不可能であったはずのペルソナが5つ程解禁されております。現在使用可能なのはこちらになります」
イゴールが手を差し出すとテーブルの上に一枚のカードが現
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