暁 〜小説投稿サイト〜
リリカルな世界に『パッチ』を突っ込んでみた
第十一話
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ハハハハハハハ!!!」

 彼は、笑いながら。嬉し涙を流しながら受け入れた。先ほどまで感じていた恐怖など、既に欠片も感じない。彼にあるのはただ、『歓喜』だけだ。嬉しいのだ。人間から離れることが。踊りだしたい程に、嬉しいのだ。

 人から見れば、『狂っている』と称されるだろう。そのとおり、彼は狂っている。生存するためなら、自身すら犠牲に出来る狂人。それが、伏見葵という少年なのだ。

「感謝するぜヴォルケイノ・・・!」

 ―――俺の敵となってくれて、ありがとう。

 だから・・・

「死ね。」

 ワンフロア登り切り、これ以上は今の自分では昇れないと判断した葵は、現実へと帰還した。目の前には、燃えたぎる溶岩の拳。あれから、一瞬すら経過していない。・・・だが・・・

「邪魔だ!!!」

 吹き飛ばした。

『!?』

 ヴォルケイノが驚愕しているのがわかる。何せ、葵は今、蹴り飛ばしたのだから。先程は触っただけで重症を負ったはずなのに、今は靴が燃えるだけ。火傷一つ負っていない。

「・・・まだ、服に纏わせる(・・・・)のは無理か。」

 そう呟きながら、彼はヴォルケイノの胴体にもう一方の脚で回し蹴りを喰らわせる。それだけで、面白いように吹き飛んだ。百メートルほど吹き飛び、溶岩の海をまるで水切り(小石を水面で跳ねさせる遊び)のように何度も飛び跳ねて、二百メートルほどで溶岩の海に沈んだ。

「・・・これが、進化の力・・・!」

 レベルアップ・・・などという言葉では生ぬるい。彼は今、間違いなく生物として、一段上位の存在として生まれ変わったのだ。

「こうして・・・と。」

 よく見ると、うっすらと彼の体全体を、ブルーの光が覆っているのが見える。その光を、彼は両腕へと集めた。

「おお・・・。」

 まるで、ビデオを巻き戻すかのように、急速に傷が癒えていく。先ほどまで炭化して使い物にならなかった腕は、ほんの二秒で元の姿を取り戻した。

「これが、俺の新しい力か・・・。」

 進化の方向性は、人や場合によって異なる。例えば、不知火は原作で、《火星の守護者》や《太陽の守護者》として進化した事もある。かと思えば、ヒロインの一人の一条雫は、《不知火と同じ進化の道》を選んだ。

 だから例え、葵が一条雫と同じ能力を持っていたとしても、『進化に望むもの』が違うのだから、当然その後の能力は違ってくるのだ。

 彼が選んだ進化は、『攻撃と防御や回復、全てに使える能力』であった。その結果得たのが、『パッチのエネルギーそのものを操作する』能力だ。

 元々葵の力は『エネルギー操作』だ。そして、人はパッチから与えられる無尽蔵のエネルギーによって、体を変化させている。圧倒的な身体能力や治癒能力が、
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