第十一話
[6/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ハハハハハハハ!!!」
彼は、笑いながら。嬉し涙を流しながら受け入れた。先ほどまで感じていた恐怖など、既に欠片も感じない。彼にあるのはただ、『歓喜』だけだ。嬉しいのだ。人間から離れることが。踊りだしたい程に、嬉しいのだ。
人から見れば、『狂っている』と称されるだろう。そのとおり、彼は狂っている。生存するためなら、自身すら犠牲に出来る狂人。それが、伏見葵という少年なのだ。
「感謝するぜヴォルケイノ・・・!」
―――俺の敵となってくれて、ありがとう。
だから・・・
「死ね。」
ワンフロア登り切り、これ以上は今の自分では昇れないと判断した葵は、現実へと帰還した。目の前には、燃えたぎる溶岩の拳。あれから、一瞬すら経過していない。・・・だが・・・
「邪魔だ!!!」
吹き飛ばした。
『!?』
ヴォルケイノが驚愕しているのがわかる。何せ、葵は今、蹴り飛ばしたのだから。先程は触っただけで重症を負ったはずなのに、今は靴が燃えるだけ。火傷一つ負っていない。
「・・・まだ、服に纏わせるのは無理か。」
そう呟きながら、彼はヴォルケイノの胴体にもう一方の脚で回し蹴りを喰らわせる。それだけで、面白いように吹き飛んだ。百メートルほど吹き飛び、溶岩の海をまるで水切り(小石を水面で跳ねさせる遊び)のように何度も飛び跳ねて、二百メートルほどで溶岩の海に沈んだ。
「・・・これが、進化の力・・・!」
レベルアップ・・・などという言葉では生ぬるい。彼は今、間違いなく生物として、一段上位の存在として生まれ変わったのだ。
「こうして・・・と。」
よく見ると、うっすらと彼の体全体を、ブルーの光が覆っているのが見える。その光を、彼は両腕へと集めた。
「おお・・・。」
まるで、ビデオを巻き戻すかのように、急速に傷が癒えていく。先ほどまで炭化して使い物にならなかった腕は、ほんの二秒で元の姿を取り戻した。
「これが、俺の新しい力か・・・。」
進化の方向性は、人や場合によって異なる。例えば、不知火は原作で、《火星の守護者》や《太陽の守護者》として進化した事もある。かと思えば、ヒロインの一人の一条雫は、《不知火と同じ進化の道》を選んだ。
だから例え、葵が一条雫と同じ能力を持っていたとしても、『進化に望むもの』が違うのだから、当然その後の能力は違ってくるのだ。
彼が選んだ進化は、『攻撃と防御や回復、全てに使える能力』であった。その結果得たのが、『パッチのエネルギーそのものを操作する』能力だ。
元々葵の力は『エネルギー操作』だ。そして、人はパッチから与えられる無尽蔵のエネルギーによって、体を変化させている。圧倒的な身体能力や治癒能力が、
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ