第十一話
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
顔を焼かれながらも、彼は空中を蹴って距離を取る。必死に逃げた彼が見たのは、落ちていくヴォルケイノであった。
「と、飛べないのか・・・?」
下は溶岩の海で、足場になる場所はない。溶岩が冷えて固まるにももう少し時間が必要だ。つまり、敵は溶岩の海で泳ぎながら戦うしかないということ。それならば、制空権を奪っている葵が負けるはずもない。
―――そう、思った瞬間だった。
「嘘、だろ・・・?」
ダン!と音を立てて、ヴォルケイノは溶岩に降り立った。正確には、彼が落ちた場所の溶岩が、急激に冷えて固まった。その地面に、敵は着地したのだ。
「なる程・・・。ただ熱くするだけが取り柄じゃないと・・・。アンタの本質は、溶岩を操る事なんだな。」
溶岩を放つも、溶岩の熱を奪うのも自由自在。滝を突っ切って来たのも、足元に道を作って来たのだろう。そうじゃなければ、空を駆ける葵に追いつける訳が無い。
「希望が見つかったと思ったらコレだよ・・・!」
弱音を吐きながらも、彼の頭脳はこの状況を打開する方法を考え続けていた。
「まずは、何よりも両腕を直さないと話にならんな・・・!!!」
意図的に無視していたが、両腕は今にも発狂しそうな程の痛みをずっと送り続けている。それに、両足だけでは戦えない。何とかして治す必要があった。
「そう。腕を治すんだ。それだけじゃない。この状況を打開するには、強力な手札が必要だ。・・・それは、何だ?」
彼の視界の先では、ヴォルケイノが突撃の構えをしている。また、溶岩の海を走ってくるつもりなのだろう。
―――猶予は、ない。
「ここで進化する。階段を昇る。考えろ。俺に必要なのは・・・何だ!?」
ドン!!!
ヴォルケイノが、地面を蹴る。凄まじい速度で、迫ってくる。
距離的に考えても、あと十秒もあれば葵の場所までつくだろう。牽制として”飛弾連脚”(二発)を放ってみるも、片腕でゴミでも払うかのように散らされた。彼の今出せる最強技ですら、牽制にもならないらしい。また距離を離す事も考えたが、敵のほうが速度が早い。結局追いつかれる。
―――あと五秒。
「どうする・・・?」
―――あと四秒。
「何が必要だ・・・?」
―――あと三秒。
「腕を治して、アイツを倒せる手札・・・!」
―――あと二秒。敵が大きく跳躍する。
「それは・・・。」
―――あと一秒。拳が大きく振りかぶられ、葵の目の前まで来て・・・
「コレだ。」
――――――葵は、真っ赤なフロアに立っていた。
「・・・・・・着いた。」
呆然と呟く。地面は見渡す限り一面の真っ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ