第三十四話 湖のほとりでその五
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「そうしたらどうかしら」
「それも手か」
「とにかくね。言われてみればね」
「あたし達自身も謎だよな」
「かなりね」
菫も次第にこのことに気付いた、そしてそれは他の少女達もだった。
桜もだ、眉を曇らせてこう言った。
「本当に私達自身がわからなくなってきましたね」
「だよな、本当に」
「人間なのでしょうか」
「力ってな」
薊はここで自分の右手の掌を見た、その掌は普通の人間のものだった。鍛えられていてあちこちに拳法のタコがあるが。
「何であたし達にあるんだ?」
「気?」
こう言ったのは菖蒲だった。
「私達の気かしら」
「気が火とか水になるってのかよ」
「そうじゃないかしら」
「そうなのかね」
「気は誰にもありますね」
桜も言うのだった。
「例えば仏像の後ろにも」
「ああ、お不動さんとか背中燃えてるよな」
「あれも気です、オーラです」
そうなっているというのだ。
「オーラが炎となっているのです」
「じゃああたし達もか?」
「そうなるのではないでしょうか」
「そうなのかね、何かわからなくなってきたよ」
「少なくともこの旅行の間わかることは少ないかも知れません。ですが」
「ですが?」
「そのヒントは多く手に入るかも知れません」
わかる為のそれが、というのだ。人間は何かを理解する為に何もなくという訳にはいかない。閃きやヒントが必要なのだ。
そしてだ、そのヒントがというのだ。
「この旅行の間に」
「何かでかい話になってきたな」
「そうかも知れませんね、そして今は」
「この戦いをだよな」
「見守りましょう、お二人を」
「菊ちゃん、向日葵ちゃん頑張れよ」
薊達はあらためて二人を見た、二人は既にそれぞれの武器を手にしていた。菊は忍者刀と手裏剣、向日葵は弓矢を。
そしてだ、二人も言うのだった。
「私達も色々気になることがあるけれど」
「それは今すぐにはわからないしね」
「だから今はね」
「戦ってそして」
そのうえで、というのだ。
「生き残るわ」
「そうするわね」
「随分あっさりしてるな」
「あまり考えてないのか?」
怪人達は薊達だけでなく二人の言葉も聞いて言った。
「俺達と戦うってのにな」
「それとも余裕があるのかよ」
「考えてもいるし余裕もないわ」
菊はその怪人達に微笑んで返した。
「実際のところね」
「その割には明るいな」
「だって。深刻に考えても物事は解決しないから」
この怪人達との戦いは、というのだ。
「だからよ」
「それで、っていうのかよ」
「暗く考えるよりも明るく考える方がいいから」
「そうそう、余裕がなくてもね」
向日葵も菊の言葉に横で笑顔で頷く。
「前に出るしかないからね」
「そういうことだからね」
「
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