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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
縁は連なりて
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せる。

「何故、あんなことを?」

「そ、それは、えと………」

此方の機嫌を伺い、言葉を濁すエプロンドレスの少女。
怒られるのが怖いのならばやらなければいいのにと思いつつも、子供のやることだと納得し、少女を宥める。

「別に怒る気はないから安心していい。包み隠さず話してさえくれれば、だがな」

「………アンタが悪いんだもん!そんな変な格好しているから、面白くなってちょっかい掛けちゃったんじゃない!」

吹っ切れたと言わんばかりに発せられた言い訳は、どう返答すればよいか困るものだった。
これが大の大人の発言だったならば、皮肉のひとつも言い返せるのだが、相手は子供。
そんな大人げない真似ができよう筈もなく、ただ彼女たちの言い分に流れを任せるのみであった。

「それは―――なんというか、すまなかった」

「え――――――」

黒髪の少女は、その返答がまるで予想外と言わんばかりに呆けた声を出す。

「こちらも言い訳させてもらうが、これは知り合いが私の為に用意してくれた代物でな、それを着ずに箪笥の肥やしになんて人道に反する。違わないかね?」

「………うん」

「まぁ、だからといってあの悪戯が許されるというわけではない。私以外が相手だったらこってり絞られていたかもしれないんだぞ」

「………はい」

「もうこんな悪戯はしないと約束できるか?」

三人とも同時に無言で頷く。

「よし、いい子だ」

その答えに満足した私は、しゃがみ込み三人の目を見つめながら頭を撫でる。
三人の憂いに満ちた表情が、多少晴れたように感じる。
子供は善悪の判断が未発達であるが故に、如何なる行動にも責任を持つことはない。
本能のままに行動し、それが咎められるべきことであれば叱るのは親あるいは大人の役目。
その点において、私の選択は間違っていると言えよう。
だが、子供の戯れを許容する大人だって必要だ。
叱るも放任するも容易いが、それを許すとなると一筋縄ではいかない。
彼女達がいつまで私の言いつけを覚えていられるかは定かではないが、言えばきちんと話を聞いてくれる辺り、根が素直なのは明白だ。
ならば諭すように言い聞かせたとしても、何も問題はない。
―――などと自分に言い聞かせているが、本音を言えば私が子供を叱れるほど高尚な人間ではないからと、逃げているだけに過ぎない。

「では私はもう行くが、くれぐれも迷惑を掛けることはしないようにな」

それだけを告げ、その場を立ち去る。
精神的に疲労が溜まったが、おかげで心は神社を出る前と比べ穏やかになっていた。
こんな風に穏やかな時間がいつまでも続けばどれだけ良いことか。
だが、それが叶わないことは充分理解している。
正義の味方という在り方に未練を残し
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