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Fate/Fantasy lord [Knight of wrought iron]
縁は連なりて
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とになりそうだ。
「だが、私は彼女のことは嫌いになれないな」
「ほう、神としては彼女の行動は容認できるものなのかね」
「確かにやっていることは褒められたものではない、が―――彼女は自分の行動に責任を持って行動している。他者に笑顔を与える代償として、別の誰かに恨まれることを理解し、受け入れている。そうでなければ、個人であれだけの仕事量をペースを落とさずに行うなんて無理だ」
「………随分と高い評価を下すのだな」
「幻想郷は、良くも悪くも無責任な者が多すぎる。自由という概念を曲解し、自分の行動に責任を持てない―――いや、行動に対して信念を持ち合わせない者が多すぎる。確かに精神的に解放されているというのは素晴らしいことではある。だがそれを常とし他者と接するにあたり、自分の発言が相手の人生観すら変化させかねないという可能性を考えずに発言してしまう。―――自由になるということは、決して子供になることではないのに」
悲しそうにそう呟く神奈子の表情は、とても印象的だった。
彼女は外と幻想郷の感性を両方理解しているが故に、苦悩している。
集団で生きることがもはや絶対となっている外の世界と、そのようなしがらみとは無縁の幻想郷。
裕福な生活は人間の可能性を縛り、自由な生活は人間性に欠陥をもたらした。
どちらも結果論でしかなく、どちらかが悪いと言われても答えようがない。
環境に適応するのが生物の処世術。
どちらも与えられる最高峰の幸福を目指し、適応を繰り返しているに過ぎない。
時代が変われば人は変わる。それは環境であっても例外ではない。
それがどこまで正しく、間違っているかなんて当事者からすれば重要ではない。
余程変えざる事情がない限り、今の生活を捨てるという考えは起こりえない。
誰だって苦労して生きたいとは思わない。
新しきを追求するということは、必ずしも幸福なことではないのだから。
それを理解した上で、神奈子は苦悩している。
二つの現実を―――いや、それ以上を知る彼女にとって、どちらを肯定し、否定するというのは生半可な決断ではない。
私のように歯車のひとつでしかない存在にとって、その選択はとても軽い。
それこそ、責任が存在しないから。
だが、神という肩書きは決してそれを容認しない。
神とはすなわち、ヒトの為に存在しているようなモノ。
そんな存在が、両方の在り方を肯定してしまえば、結果は歪みとなって現れる。
恐らく彼女は、一生この悩みから解放されることはない。
同時に、私が彼女にしてやれることも―――ない。
それがひどくもどかしく、辛い。
「だから、私は彼女のことが嫌いになれない。その点、麓の巫女は―――いや、君には関係ない問題だったな、聞き流してくれ」
それからも、とりとめの無い会話が続く
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