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艦隊これくしょん History Of The Fleet Girl's Wars
呉鎮守府
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ャーチルの先祖に当たるマールバラ公は、スペイン継承戦争期の英雄であり、ホイッグの平和を実現するに大きな役割を果たしたイギリスの国民的英雄の一人である。イギリス生まれの金剛は親近感を感じたようだ。
そんなこんなで、金剛と歴史の話をしているとある程度夜も深まってきたので、金剛を戦艦たちの部屋に返す。呉鎮守府では戦艦たち専用の寮のような宿舎を完備しており、金剛型四姉妹には大きめの部屋が一つ分け与えられている。
「グッナイ、提督」
遠征明けとは思えない明るさは歴戦の金剛型戦艦の余裕か、頼もしい限りである。
一人執務室に残され、峰は静かに金剛の持ち込んだ電報を見遣った。
元帥、ソロモン海方面ヘノ攻撃命令ヲ決定スル
作戦名サーモン作戦トス
「忙しくなるな」
お猪口に残った酒を一煽りして、峰は執務に戻った。
朝である。
鎮守府の朝は、正規空母たちの弓の稽古の音が響き渡る。提督の使いとして、大本営の元帥のもとにいた比叡が到着したのは早朝の5時だった。
海軍元帥のもとへ向かったのは、新たな作戦に関する会議に参加するためであった。呉は東京から遠く、提督が動けばしばらく鎮守府の機能は低下するために比叡が向かったのだ。
「遅くなっちゃいました」
独り言が多いのはやはりさみしいからだ。長旅による疲れよりも姉妹で一緒にいれないことはさみしい。それに元帥から受けた作戦も、比叡の心に重くのしかかっていた。なにより、あの無精ひげのやる気のない提督と一緒にいれないことは、なぜか分からないが自分の心をそわそわと落ち着かせなくさせていた。
「あら、比叡さん。おはよう」
鎮守府の敷地に入って、弓道場は少し歩いたところにあるが、ちょうど比叡は近くまで来ていた。赤城が一練習終えたのか弓道場の外に出ていた。
「おはようございます!」
帰ってきた。とようやく実感がわいてきた。赤城はこの呉鎮守府で航空戦力の主戦力であり、比叡が尊敬する艦娘の一人だ。
「大本営はどうでした?」
屈託なく笑いかけてくれる赤城の顔は、峻烈な訓練で知られる第一航空戦隊の空母の物とは思えないほど穏やかなものだった。不意に、比叡の緊張がすべてほぐれてしまった。
「ひえ〜」
思わず、顔がほころんでしまう。自分はやはり、大本営よりもこの鎮守府の人間なのだなあと心の底から思った。
赤城も気の抜けた比叡の声に面食らったようだったが、ふふっと微笑みかけてきてくれた。
「あ、比叡さん。お帰りなさい」
「ただいまですっ」
鎮守府の朝はまだ明けたばかりである。
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