十九話:世界はきっと残酷だ
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でまだ不完全だと言うのだから恐ろしい。
流石は神滅具と言うところだろうか。
でも、その力だけではライザーは倒せなかった。
不死鳥の名の通り炎から復活したのだ。
そして部長に止めが刺されようとした瞬間―――。
ルドガー君が飛び込んできた。
その姿は普段とは違う姿だった。
骸殻……一族の力。
そして見せられた圧倒的な力。
いとも簡単にライザーをあしらっていく。というよりもあれは虐殺に近い。
まるで相手にならない。それほどまでの力の差だった。
速さでさえ僕を越えているだろう。彼はあんな力を隠していたのか……。
でも僕が一番驚いたのはそこじゃない。
彼の言葉だ。
『俺は――“俺達は”―――何も失わずに済んだっ!!』
聞いているこちらにまで。痛みが伝わってくるかのような悲痛な叫び。
大切な者を失った者だけが見せる姿。
僕には分かる。僕も大切な者を失っているから。
僕達は同じような経験をしている。
だからこそ分かる―――
『俺にとっての“選択”は! “覚悟”は! 俺の大切な人達との“繋がり”だ!!』
君は失った大切な者との繋がりを失うことを恐れている。
僕が“みんな”を忘れることを恐れて復讐心を持ち続けている様に。
それなのに……。
「どうして違うんだい?」
君と僕は月と鼈だ。
似ているようでまるで似ていない。
僕は失った事を憎んでいる。
でも君は失った事を懺悔している。
その理由が僕には分からない。ただ根本的な何かが違うのだけは分かる。
そう、まるで―――理不尽に奪った側と奪われた側の違いの様に。
〜カナンの地〜
ここはカナンの地、魂の循環を司り、魂を転生させる場所。
そしてかつて『オリジンの審判』の為に。
クルスニク一族が死に物狂いで辿り着こうとした場所。
……一族で骨肉の争いを繰り広げて。
そんな場所の最奥部に存在する『審判の門』。
かつて“審判を越えし者”が世界と一人の少女を救った場所。
そんな『審判の門』の中には人間を嫌う精霊と、人間に興味を持つ精霊がいる。
―――今なお瘴気にその身を焼かれながら。
「ふふ。やっぱり人の選択は面白いね」
光が子供の姿をかたどったような姿の精霊が楽しそうに笑う。
この精霊こそがここ『カナンの地』の主であり大精霊の王と呼ばれる者。
オリジンだ。
「何をしている? オリジン」
そんな様子を不思議に思い尋ねる。
長い銀髪に猫み――獣の様な耳が生えた男性の姿をした精霊。
「時空」を統べる能力を持つ大精霊。クロノス。
「うん。ちょっと別の世界の“彼等”の様子を見ていたんだ」
「ふ
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