十九話:世界はきっと残酷だ
[4/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
いる。
無事な部分を探すのに苦労するレベル。全部……私のせいで。
私は凄く未熟で幼稚で…我儘で。
それなのにみんなは。イッセーは私を守ってくれた。
こんなどうしようもない私を……。
ただ笑って欲しいという理由で。
だから―――泣くのはもうやめよう。
悔しさの余り流れていた涙を拭く。
それから頬をパシンと叩いて立ち上がる。
「あなた達が私を守ってくれたのに…。私がこんな顔をしてちゃダメよね。
あなたの見たい笑顔をもう私は絶やさない」
心も体も強く。
胸を張って私があなた達の―――
「『王』だと言えるようになるから」
Side兵藤一誠
ボンヤリとした意識の中で自分が起きたことが分かる。
俺……なんで寝てるんだ?
あの時、俺達の勝利を告げるアナウンスを確かに聞いたはずだ。
………夢じゃねえよな?
本当は俺達が負けたとかじゃねえよな?
あの時、ルドガーが間に合わなくて―――
「イッセー」
聞こえてきた声は。俺が今、一番聞きたかった声。
「部長?」
「ええ。……私はここに居るわよ。イッセー」
そう言って優しく俺の左腕を握ってくれる部長。
見た目こそ神器と同様だけど、触れれば少し温もりがある。
硬い鱗で覆われているし、鋭い爪もあるけど部長はそれを優しく握ってくれる。
ああ…俺達は本当にこの人を守れたんだな。
「い、イッセー! どうして泣いてるの!?」
「すいません……。嬉しくて…。部長を守れたことが嬉しくて…」
嬉しさで思わず涙が出てくる。
それを拭おうとして右腕を動かそうとするけど動かずに苦笑する。
派手に折られたもんな。
「もう…イッセーは泣き虫ね」
「すいません」
そう言ってクスリと笑う部長。
良かった…本当の部長の笑顔だ。
「………イッセー。目を瞑って」
「? こうすか?」
言われた通りに目を瞑る。
すると不意に唇に柔らかい感触を感じる……はあっ!?
「これは私のファーストキスよ。頑張った貴方へのご褒美よ。
うふふ、日本人はファーストキスを大切にするのでしょう?」
マジかよ!? お、俺部長とキスしたのか!?
うおおおっ! な、何と言うか混乱して良く分かんねえええええっ!!
どうすりゃいいんだよおおおっ!?
Side木場祐斗
僕は今、ベッド上であるビデオを見ている。
つい先日行われた僕達の『レーティングゲーム』を撮った物だ。
今は丁度僕がリタイアしてからの様子を見ている最中だ。
左腕を犠牲にして手に入れた力。イッセー君の禁手。
凄まじい力なのにあれ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ