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蒼き夢の果てに
第6章 流されて異界
第108話 蒼の意味
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?」

 完全に振り返った俺が朝倉さんの顔を見つめる。薄闇……。しかし、一般人には感じる事も、見る事も出来ない蒼き偽りの女神から放たれる光輝が支配する夜の世界は、俺の知っている新月の夜とは違った趣を示す。
 そうして……。

「言葉にしての答えは返してくれないのですね」

 僅かに眉を顰めて答えに代える俺に対して、微かな溜め息と共に、そう呟く朝倉さん。
 但し、彼女ならばこの答えに辿り着いたとしても不思議じゃない。何故ならば、

「朝倉さんの中に異世界の記憶がどのレベルで蘇えって居るのか判らない以上、俺は常に最悪の状況を想定して置くからな」

 朝倉さんの記憶が自らの事だけなどではなく、彼女と共に地球に送り込まれた有希に関しても覚えている……思い出している可能性が有り、そして、その有希に関しても、俺に対する態度とその他の人間に対する態度とではかなり違う事が判るはずですから。
 ただ、何故、ここまで的確に俺と有希が同居している事に気付いたのか、については正直に言うと判らないのですが……。

 確か有希は、情報操作は得意だと言ったはずなのですが……。

「もう少し、狼狽えてくれたら面白かったんだけど」

 これでも名探偵並みの推理を働かせた心算なんだから。
 少し不満げな表情を俺に魅せる朝倉さん。但し、ハルヒが俺に見せる不満げな表情と比べるとかなり柔らかな表情。もっとも、アイツは妙にくちびるを尖らせるから可愛げがあると言うよりは、餌を横取りされた空腹のアヒルのように俺が感じているから、なのかも知れませんが。

「本当に隠したいのなら、夫婦茶碗や夫婦箸は使わない方が良いわよ」

 ……ん? 夫婦茶碗?
 朝倉さんが続けた名推理のネタバレの台詞。しかし、いくらマヌケな俺でも、そんな初歩的なミスはしない。最初に万結に用意するように指示をしたのは来客用の全員お揃いの茶碗。それに、普通に百円均一で揃えたかのようなお箸。
 ……だったはずなのですが。

 何と言うか……。ハルケギニアでもタバサが同じような事をしたような。……湖の乙女が現われてから。それに、弓月さんやさつきを妖魔から助けた際に俺と一緒に自分が居た、と有希自身が言った時にも似たような違和感を覚えたのですが。
 確かに夫婦茶碗や夫婦箸と言うのは一度使い始めると、その天寿を全うするまで使い続ける必要がある物なのですが、それでも、絶対に毎食、使用し続けなければならない、と言うほど厳しい戒律がある物でも有りません。

 これはおそらく高校に通うようになってから、万結が有希の立ち位置に近付いて来たが故に起きた事態でしょう。

 そう簡単に結論付ける俺。その俺の視界の左から中心……。朝倉さんと俺の間に割り込むように立つ人影。
 セーターの白よりも風に揺れる
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