第6章 流されて異界
第108話 蒼の意味
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そんな事をわざわざ説明する心算も有りませんが。
僅かに微笑む朝倉さん。俺の周りに集まって来る女の子の中では非常に珍しい表情。何故か、俺の周りに集まって来る少女たちが笑顔と言う表情を浮かべてくれる事は稀。何時も怒っているかのような表情のハルヒやさつき。無と言う表情が凝り固まったままの有希や万結。そしてタバサ。それに、少し翳が差す弓月桜。
どの娘もかなりレベルの高い美少女なのに……。
朝倉さんの笑顔を見て、まったく違う少女たちの事を思い浮かべると言う、ある意味非常に失礼な状態の俺。ただ、そんな事を朝倉さんが気付く訳もなく、
「私はもうしばらくの間、氷空を見てから戻ります」
武神さんの御蔭で寒く有りませんから。
ほぼ間違いなく、俺に不思議な能力がある事に気付いて居る朝倉さんの台詞。確かに知られると双方の生命に関わる秘密と言う訳では有りませんし、朝倉さんに関しては元々、こちら側の人間。遠からず彼女自身の正体と、自らの周囲に居る人間の能力を知る事となる相手ですから問題がない、と言えば、問題はないのですが……。
「そうか。それなら明日は早いらしいから、遅くならないウチに戻って来いよ」
それでも多少は気遣った方が良いか。どんな人間であったとしても、その人間がこちら側に来ても良い事はあまり有りませんから。
一度でも関わって仕舞った人間は元に戻る事はかなり難しい……そう言う場所ですから。
三年前から俺が生きているこの場所は――
心の中でそう考え、右手を後ろに向けてヒラヒラさせながら光差す空間へと歩み始める俺。
その俺の右横を少し遅れて付いて来る万結。何となく笑って仕舞うほど似ている……三人。
有希と、万結と、そして、タバサと。
しかし――
「そうだ。後ひとつ聞いても良いかな?」
しかし、歩み始めた俺を呼び止める彼女の声。
「武神さん、今は何処で暮らしているんですか?」
振り返った俺に対して……いや、言葉自体は俺が振り返る最中に既に発せられていた。彼女の表情と言葉の雰囲気は疑問の形。但し、目は笑って居る。
それに……。
「最初は神代さんの所に居るのかと思って居たんですよね」
だって、どう考えても貴方に対する時の神代さんは、普段の彼女じゃなかったから。
俺に答える暇など与えないかのように言葉を続ける朝倉さん。確かに万結の俺に対する態度と、その他の人間に対する態度は違い過ぎる。その上に、彼女は従姉妹だと言う設定ですから、同じ家に住んでいると思ったとしても不思議ではない。
しかし、朝倉さんはその考えをあっさり否定した。
「武神さん。貴方は今、長門さんと暮らしているでしょう
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