第6章 流されて異界
第108話 蒼の意味
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地球の周りを回るなど通常の……自然な現象としては考えられない。
普通に考えるのなら、何か別の物が見えて居る、と考える方が妥当でしょう。
尚、その偽りの月が現われたのが一九九九年七月八日の夜から。但し、この世界に関してはハルヒと名付けざられし者との接触が行われていないのに、あの蒼き月が現われている以上……。
「あの月と彼女に関わりがある可能性は低い」
水晶宮から渡された資料の通りに答える俺。
確かに、完全に関係して居ないとは言い切れないけど、状況証拠からだけならば、このふたつの月が存在する直接の原因はハルヒに関係はないでしょう。
おそらく……。
「一応、俺たちの間では、あの月は何処かの平行世界の地球の姿を映して居るんじゃないか、と言う仮説が立てられているけど……。詳しい事はさっぱりやな」
そもそも、ハルケギニア。それに、この世界もクトゥルフ。それも這い寄る混沌絡みの事件が起きて居たのですから、あのふたつの月に関して詳しい事……。何故、其処に異世界の地球の姿を浮かび上がらせなければならないのか、その意図を予想するのは不可能。伝承や狂った書物に記されているヤツの記述を信用するのなら、何かの気まぐれの可能性だってあるぐらいですから。
単純に考えるのならば、月は魔法に関係しているので、何か大がかりな魔法の関係。それも、先に挙げたように終末に現われる不吉の月と言う、ふたつ目の月の伝承も利用している可能性も有るとは思うのですが……。
「まぁ、朝倉さんが気にする必要はない。……と言うか、俺でもどうしようもない事象やから……」
そう話しを締め括る俺。それに、少なくともこの世界の危機に対処するのはこの世界の人間が相応しい。旅の勇者に厄介事を何もかもおっ被せて仕舞うような世界に、真面な未来など訪れはしない。
おそらく水晶宮や天中津宮。バチカンなどは動いていると思いますから、遠からずこの異常な状態も解消される事となるでしょう。
ひとつの会話が終わり、再び良く晴れた真冬の夜に相応しい静寂が取り戻された。澄み切った大気の層の向こう側から煌々と照らす月明かりは、世界が完全に闇に閉ざされる事を防いでくれているかのようであった。
さて、それならばそろそろ部屋に帰るか。
隣に居るのが有希ならば、このまましばらくの間、夜と彼女の創り出す世界に身を置くのも悪くはない。そう考えるトコロなのですが、朝倉さんが相手では間を持たせる事が出来ない。確かに、人間的に言うとそう苦手なタイプと言う訳でもないのですが、そもそも俺自身が女の子の扱いに長けている訳でもないので……。
そう考え、右足を一歩前に踏み出そうとした瞬間、再び感じる誰かの気配。
当然、足音が聞こえる訳ではない。ただ感じる……人が接近し
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