2部分:第二章
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第二章
それを見てだ。イギリス軍の者達はまた話した。
「実在したんだな」
「そのとんでもないエースがな」
「あいつがそうなんだな」
「あのスピットファイアが」
こう言い合いだ。そのスピットファイアが戻るのを見る。そうして。
空港に降り立ちだ。そこから出て来たのは。何と。
「女!?」
「女じゃないのか!?」
「女が戦っていたっていうのかよ」
「まさか」
「あのエースは」
見ればだ。緑の目に豊かなさらりとした腰までのブロンド、それに白い細長めの顔立ち、整った目鼻立ち、均整の取れた飛行服からでもわかる見事なプロポーション。それこそは。
女である何よりの証だった。それもかなりの美貌の。
その彼女を見てだ。誰もが驚きの色を隠せなかった。
「伝説のエースは女パイロットかよ」
「嘘だろ、これ」
「こんなことってあるのかよ」
「女が戦うだけじゃなくて」
「エースだって」
「それも凄腕の」
そうした何重にも有り得ないことだった。しかしだ。
実際にだ。彼等は見たのだ。彼女を。そうしてだった。
美女はだ。驚く彼等に対してだ。こう名乗った。
「セーラ=リリーです」
「リリー!?」
「また奇麗な名前だな」
「階級は大尉です。以後宜しく御願いします」
毅然としてだ。セーラは言うのだった。
そしてだ。まだ驚いている彼等にだった。こうも言ったのだった。
「私は軍人です」
「いや、それはわかるさ」
「見ればな」
「けれどな」
「女といえど軍人です」
セーラの言葉はここでも毅然としていた。
「それだけです」
「軍人だから戦う」
「そうだっていうのかよ」
「それだけのことです」
こう言ってだ。すたすたと空港の滑走路を後にするのだった。
その彼女のことはだ。忽ちのうちにだ。
イギリス中に広まった。マスコミが言うにはだ。
「英国の黄金の百合現る」
「英国の守護天使」
「美貌の女神が英国を護っている」
こんな調子でだ。戦時中ならではの過剰な表現で彼女のことを伝えるのだった。
そしてだ。さらにだった。
軍人達もだ。こんなことを言った。
「確かに我が国は今辛い」
「けれどそれでもな」
「女にまで頼るのはな」
「我が大英帝国の名が廃るぞ」
「こんなことではな」
こう言ってだ。彼女の存在自体を好ましくないというのだった。
しかしだ。当のセーラはというと。
至って落ち着いてだ。こう言うだけだった。
「女であろうと祖国を想う気持ちは同じです」
「だからか?」
「だから戦うっていうのか」
「女でも」
「そうです。女であろうともです」
それでもだとだ。セーラの言葉は変わらない。
「戦います。そして最後には勝ちます」
「勝つ為にか」
「
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