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第一章
女騎士
イギリス本土までにもだ。ドイツ軍が迫っていた。
ポーランド侵攻からはじまるドイツ軍の進撃は続きだ。フランスを破り遂にはイギリス上陸にまで迫っていた。そしてフランスの海岸にだ。
ドイツ空軍が集結していた。そのうえでだった。
攻撃をはじめていた。首都ロンドンにもだ。
連日連夜ロンドンに爆撃を仕掛けてきていた。当然そのドイツ軍に対してだ。
ドイツ軍の迎撃の為にだ。イギリス軍も出撃する。そしてだ。
激しい戦いが繰り広げられていた。そこには。
多くのパイロット達が加わっていた。その彼等がだ。
基地に戻った時にだ。こう話すのだった。
「今日も来たな」
「ああ、ひっきりなしにな」
「次から次に来てくれるな」
「飽きない奴等だよ」
うんざりとした口調でだ。疲れた身体を引き摺りつつ話していく。
「こっちはもうな」
「ああ、限界か?」
「今すぐにでも寝たいな」
「寝ないともたないぜ」
彼等の疲労は既に限界にきていた。
「これはまずいかもな」
「ああ、こんな勢いでこられ続けたらな」
「負けるかもな」
この危険もだ。彼等は感じだしていた。
「ナポレオンにも負けなかったけれどな」
「今度ばかりはな」
「ネルソンがいてもな」
そのナポレオンを破った英雄だ。その彼がいても今回ばかりはどうなるかわからない。こんなことまで言われる状況だったのだ。
だがその中でだ。こんな話が出た。
「それでも凄いパイロットがいるらしいぜ」
「メッサーシュミットを四十五機も撃墜したな」
「ハインケルを五分で七機も撃墜したってな」
「そんな凄いのがいるってな」
こうした話が出て来ていた。
「何でも出撃する度に敵を倒すってな」
「まさに空の騎士」
「そんな凄いのがいるってな」
「噂になってるんだよ」
「へえ、そんなパイロットがねえ」
「いるってのかよ」
「凄いな、そりゃ」
まずはこう言われてだ。それでだ。
今度はそのその存在についての疑問の言葉が出て来た。
「いるのかね、本当にそんなパイロット」
「いたら一体誰なんだよ」
「そんな凄いのがいるんだったらお目にかかりたいぜ」
「そうだよな」
「本当だったらな」
その実在まで疑われていた。苦しい戦争ではよくあることだ。彼等を助ける救世主がいるという話はだ。それで今回もそう思われた。
しかしだ。その救世主はだった。
実在した。そのロンドン上空でだった。
いきなりだ。一機のスピットファイアがだ。
空中に舞いだ。そのうえで。
ひらひらと飛びメッサーシュミット達を倒していく。一機、また一機とだ。
気付けば五機のメッサーシュミットを撃墜していた。そ
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