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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十五話 浸透
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だろう。俺は陸戦隊の様子でも見に行くとするか……。
帝国暦 488年 9月 10日 レンテンベルク要塞 ウルリッヒ・ケスラー
「メックリンガー提督」
「……」
「メックリンガー提督」
「ああ、何かな、ケスラー提督」
二回呼ばれてようやく気が付いたようだ。もっとも二回も呼ばれたという事は分かっていないだろう。
「食欲が無いようだが大丈夫か? 全然手を付けていないが」
「大丈夫だ、ケスラー提督。ちょっとぼんやりしていた」
どうもおかしい。一緒に高級士官用の食堂に来たが料理を前にしてもぼんやりとスプーンでシチューを掻き回すだけだ。
「まあ状況が良くないからな、メックリンガー提督の気が塞ぐのも無理は無いか」
「そうだな」
メックリンガー提督が力なく微笑んだ。
状況は良くない、皇帝は奪われ補給物資も奪われた。ローエングラム侯がヴァレンシュタインに論破されて以来将兵の士気も低い。平民達の権利の保障を宣言したが何処まで信じてくれるか……。そして貴族連合は攻勢を強めつつある。こちらは補給物資に不安を抱え、将兵の士気の低さを憂いつつ迎撃に出ざるを得ない。
唯一の救いはブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯が仲間割れをしたらしいことだ。エルウィン・ヨーゼフ二世をブラウンシュバイク公が手に入れた事で反発したらしい。リッテンハイム侯は辺境星域の奪回を宣言して軍事行動を起こしている。
貴族連合軍は優勢になった事で綻びが見えてきた。寄せ集めの弱点が現れた、そういう事だろう。キルヒアイス提督率いる別働隊がリッテンハイム侯の艦隊を撃破すればかなり情勢を挽回出来る筈だ。皆が辺境星域で行われる会戦に熱い視線を送っている。……それにしても気になる、メックリンガー提督は何を悩んでいるのだ? 現状を憂いているだけでは無さそうだが……。
「ケスラー提督」
「何かな、メックリンガー提督」
「貴族連合軍は何故我々を反逆者にしないのかな。皇帝を擁しているのだから簡単だと思うのだが」
腑に落ちない、そんな表情だ。相変らずスプーンはシチューを掻き回している。
「おそらくはその方が有利だと考えているのではないかな」
「有利? 反逆者である事がか?」
「うむ。リヒテンラーデ公とローエングラム侯を反逆者にすればリヒテンラーデ公の周辺からは陛下を廃立して新たに別な方を皇帝にという話が出る可能性が有る」
“なるほど、廃立か”とメックリンガー提督が頷いた。
「お互いに皇帝を擁して非難し合うよりも反逆者でありつつもこちらを幼君を擁して権力を弄した君側の奸、そういう形にした方が利が有る、そう思ったのではないかな。例の一件でこちらを論破したという事も有る。陛下も居るのだ、反逆者のままでも余り実害は無い、そう考えた可能性は有ると
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