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101番目の舶ィ語
第十七話。背中の温かさ
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たいのよ、もう……」

キリカの呆れたような声はすっかりいつも通りな調子に戻っている。
まあ、心に余裕が無いのは、迷いがあるのは、むしろ俺じゃない、な……。
だとしたら伝えないといけない。
キリカに。
『ロア』すらも喰い尽くす魔女『キリカ=ニトゥレスト』に。

「げほっ、ごぼっ、うぇー、ぺっ、ぺっ!」

口の中に入っていた蟲達を吐き出しながら叫ぶ!

「俺は、______それでもキリカの事、大好きだよ!」

顔面には、虫達が這い回っているせいで、キリカの姿を見る事は出来ない。
だけど声なら届く。

「……偽りの記憶なのに?」

「偽りでも、キリカはキリカだ!
ならそれでいいっ!」

「女の子はみんな役者だよ?演技上手だよ?」

「それでも、俺は______」

キリカの声には、若干の戸惑いがあった。

「そんな事は、嫌う理由にはならない!どうしてもキリカを嫌いになれないんだ!」

ヒステリアモードの今、俺は女性に優しい、甘くなっている。
だが、それだけの理由でこんな事は言わない。

「俺には君が必要だ!」

「……そっか」

キリカの声に、申し訳なさそうな響きが込められる。

「じゃあ……ごめんね。本当は絶望とか、怒りとか、増悪をいっぱい引き出して、それを私が食べて……その意識を失わせてから、ゆっくり蟲達がモンジ君の体を食べて、そのDフォンを奪い取るつもりだったんだけど……」

「それは無理だよ。俺がキリカを嫌いになるなんて事はまずあり得ないからね。キリカ、君は人選を間違えたんだよ。仲良くなる相手として、ね」

そう、俺は余程の事がない限り、仲良くなった相手を嫌いになる事はない!
特にヒステリアモードの俺は。
まあ、いきなり虫とか蟲で襲われてはいるが、前世でも実銃とかで撃たれたりしてるしな。

「……みたいだね。だから、ごめんね、モンジ君。なるべく痛くないようにその子達に食べさせるからね?」

「……やっぱり食べさせるのは変わらないんだね」

「うん?だって、その子達は私の攻撃手段でもあるから」

「攻撃手段?」

「食べちゃえ♪ って言えば、みんなが一斉にバクバクバクー! っと!」

「やっぱりかー」

「それじゃあ一斉に……」

ぞわぞわぞわー??

足元からも大量の蟲達が溢れ出して、俺の体を包み込んだ。
全身を蟲達が駆け上がり、制服の下。肌までもわらわら群がってきた。
羽虫とか、蟲同士が重なる音とか、謎の濡れた音とかが耳に入る。
あまりの気持ち悪さに意識が飛びそうになる。
……だけど、どうしてだろうか。
意識を飛ばされそうになるが飛ぶ事にはならない。
なんとなく不思議な感じを背後から感じてしまうからだ。
背中が
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