第十七話。背中の温かさ
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
で飛ぶ事で幸福を与える存在』としてその子の存在自体を『改変』したんだね」
『物知りキリカ』の異名の通り、蜘蛛の巣に纏わる都市伝説についても詳しく知っていたキリカが解説をしてくれた。
「ああ、蜘蛛のロアだから蜘蛛に纏わる怖くない都市伝説としてその物語を変えてみたんだ」
「そんな事が出来るなんてね……やっぱり君は面白いね!
面白いから、危険だから次は確実に殺さないとね……」
「出来れば見逃してくれるとありがたいんだけどね……」
「それは駄目だよ?
もう、正体を明かした以上は……君を逃せないよ。
というか、何で逃げようとしないの?」
キリカが不思議そうな顔をしながら俺を見つめているがそう、俺は自分から逃げようとは一度もしていない。
襲いかかってきた虫達を排除してはいるが、逃げるという行動は一度も取っていない。
「なんというか、逃げたらいけない気がするんだよ」
「気がする、ってその虫達、超キモいよ?むしろ虫を3つくっつけた漢字の蟲って感じだよ?」
「それは嫌だね。嫌だけど……ここで逃げたら、嘘になるからね」
「嘘?」
「ここで逃げたらキリカ。君と過ごした期間とか、友達って事とか、諸々がそういった事が全て嘘になりそうだからね!」
キリカとは俺が一文字として目覚める前から、元々の一文字疾風の親友として結構上手くやってきたんだ。
ここで逃げたら親友として過ごしてきた時間が、思い出が、それらが全部嘘になるみたいで、俺は嫌だった。
「あ……あは、あははは??うん、いいんだよ、モンジ君、それはそれで!」
「え?」
「だって嘘だもん」
「……え?」
「みんなの記憶の中に、さりげなく私が混ざりこむ魔術ってのがあってね」
「……うん」
「私と過ごした大半の記憶は嘘だよ。私と君は知り合ってから実はまだ一週間くらいだしね」
「……え?」
キリカが言った言葉に、絶句してしまう。
「そうか。君は記憶も操れるのか……」
十二宮中学での出来事が脳内で再生された。
誰も覚えていなかった『トイレの花子さん』の噂。
まるで記憶を改竄されたかのように話す、四条先生。
噂があった事すら知らないままで女子トイレを利用していた、後輩達。
一つ、一つのピースがジグソーパズルのように当てはまり、ここでようやく繋がった。
彼女は虫を操り、その虫達に襲われた人やロアからキリカは精神や記憶を、虫達が人やロアの肉体を食べていたんだ。
「『魔女ニトゥレスト』。君が操る虫は人を、ロアを、記憶を、物語を食べる……それはこう言う意味だったんだね」
「うん!大正解!よく解りましたー!
では当たったお祝いに……」
キリカが両手を広げると______
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ