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東方
月に代わって、お仕置きよ!
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ある。
 なぜ宇宙艦隊を率いているのか。
 そこには、各軍の縄張り争いがあった。


『戦艦と名の付くものは全て海軍に所属するべきである』


 宇宙艦隊を立ち上げるとき、にとりが放った言葉である。
 彼女に言わせれば、地球は空軍と陸軍に、宇宙は宇宙軍に奪われては、海軍の居場所がなくなるとの危機感があった。
 空母の指揮権を空軍に奪われたことも尾を引いている。


 念願の宇宙艦隊に沸く宇宙軍は、当然いきり立った。
 宇宙軍のトップのルーミアと幾度となく渡り合い、妥協案が示された。
 宇宙艦隊を、宇宙攻撃軍(宇宙軍)と突撃機動軍(海軍)に二分するというものである。
 玉虫色の解決案だったが、指揮権が二分されることは明らかに悪手である。
 ルーミアは最後まで抵抗したが、結局、提案は受理されたのだった。
 そのような事情もあり、海軍と宇宙軍の仲はよくない。


「宇宙軍の連中に目にもの見せてくれる。生意気な金髪の孺子をけちょんけちょんにしてやるんだから」

「ルーミア宇宙軍元帥とはまだ仲が悪いんですか?」

「ふん、『闇こそわがテリトリー』だとか『河童は川で泳いでろ』とか好き勝手言ってくれちゃって――まあ、心底憎んでいるわけじゃないけれどね」

「主砲、射程圏内にはいります!」

「よーし、景気づけにドカンといくよ。主砲、斉射三連、ファイヤー!!」





 宇宙攻撃軍(宇宙軍)所属ルーミア艦隊、旗艦ブリュンヒルトにて。


「ルーミア元帥、主砲射程まであと少しです」

「よし。主砲を速射モードに切り替えるのだー」


 ルーミアの指示が旗艦から、1万5千隻もの僚艦に伝わっていく。
 隣をみると疑問符を浮かべた参謀長の姿がいた。


「斉射で制圧しないので?」

「斉射は火力バカのにとりがやってくれるのだー。わたしたちは、彼らに代わって敵陣に一番乗りすればいいのよ」

「なるほど」

「ではお仕事をするのだー、ファイエル!!」


 ビームの束が一筋走ると、月の都市に向かって全速力で飛ぶ。
 にとり艦隊の方をみやると、斉射三連の反動で、身動きができないでいた。
 固まってしまったにとり艦隊の前を、悠々とルーミア艦隊が進んでいく。


「進め、進め! 勝利の女神はお前らに下着をちらつかせているのだー」
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