第67話 再生怪人が弱いと言う設定は割と通用しない場面もあったりする
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えた。この次の一撃で全てが決まる。死ぬか生きるか。こうなればやぶれかぶれだ。
覚悟を決めた正にその刹那だった。
突如銀時の目の前に黒い影が舞い降りたかと思うと、似蔵に一撃を受け止めたのだ。
「なっ!」
「ん〜?」
突然の事に銀時は驚き、似蔵は首を傾げた。似蔵の目の前にいたのは銀時の様に白い着物一式を身に纏い、栗色の長い髪を根本で束ね、顔には白い仮面で覆い隠した細見の剣士であった。
「おやおや、これはまた奇妙な巡り合わせだねぇ。まさかあんたが現れるなんてねぇ」
仮面の剣士を前にして似蔵はさも嬉しそうに呟いていた。銀時もその剣士の後ろ姿に見覚えがあった。そう、以前桂が見せた監視カメラの映像に映っていた剣士だった。
江戸転覆を目論んだ地上げ屋一派を尽く壊滅させた凄腕の剣士。それが今目の前に立ち銀時の窮地を救ったのである。
「気が変わった。あんたがこの町に居るとなりゃいの一番にあの人に伝えなきゃねぇ〜。きっとあの人も喜ぶ事間違いなしだろうさぁねぇ」
似蔵から戦意が消えていくのが分かる。あの人に伝える。喜ぶ? 一体何の事なのか銀時にはさっぱり分からなかった。
「でも……折角会えたんだし……一手殺り合おうや!」
言葉を放った直後、似蔵が横薙ぎに刀を振るう。が、それが仮面の剣士に当たる事はなかった。
一瞬、それは正に一瞬の世界だった。刀を薙いだ音がしたかと思うと上空を一本の腕と刀が舞っていたのだ。
紛れもなく、それは似蔵の腕と紅桜であった。
「あ〜らら、やっぱ俺じゃ駄目か……流石は噂に聞くだけの事はあるねぇ〜」
腕を切り落とされたと言うのにこの余裕っぷりである。とぼとぼと歩きながら地に落ちた紅桜を拾い、それを鞘に納める。
「今日の所はこれで帰るわ。次に会う時にゃもう少し骨のある戦いがしたいねぇ、白夜叉」
「待てコラ! 逃げるのかよ!?」
「そいつに感謝しな。あんたを救ったのは紛れもないそいつなんだからさぁ」
そう言い残し、似蔵は走り去ってしまった。追い掛けたかったが今の銀時では到底出来そうにない。既に体の節々が悲鳴を上げており、正直今にでも倒れてしまいそうな程なのだから。
「やれやれ、あいつの言う通りなのは癪だが、とにかく助かったぜ。有難う―――」
言葉を言い終わる前に、仮面の剣士は振り返った。そして、有無を言わさず、持っていた刀を振りかざし、銀時のどてっぱらに深く突き刺したのだ。
「が・・・あぁっ!」
「ぎ、銀さぁぁぁん!」
信じられない光景が其処にあった。助けてくれたと思っていた仮面の剣士が今度は銀時の腹に自分の刀を突き刺したのだ。余りにも予想外の出来事に困惑する銀時。
そんな銀時の耳元に仮面の剣士の顔が近づく。
「契
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