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駄目親父としっかり娘の珍道中
第67話 再生怪人が弱いと言う設定は割と通用しない場面もあったりする
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で聞いた異世界の組織との会談である。
 規模的に見ても春雨より巨大な組織と言うのは聞いている。だが、巨大な組織であればある程裏に根付いている闇もまた大きい。
 その闇に万斉は付け入ろうとしているのだ。

「さて、拙者の弁舌で上手く奴らを転がせられるで御座ろうか? 一世一代の大プロデュースでござる。腕が鳴るで御座るなぁ」

 そう言いながら、万斉の口元が上向きに持ち上がった。そして、再びヘッドフォンを耳に傾けながらしばしの間音楽を楽しむのであった。




     ***




「おかしいねぇ、あんたこんなに弱かったっけ? 前に戦った時の方がまだ強かったよねぇ?」

 呑気な物言いをする似蔵の前ではふらつく銀時の姿が見えた。似蔵の怒涛の攻撃にひたすら防ぐ事の繰り返しを行ってきたのだが、いよいよ限界が訪れてきたのだ。

「おかしいねぇ、お前さんの刀……つくづく化け物じみてるんじゃねぇのか? あれか、RPGとかで良くあるラスボスの魔王が使う魔剣って奴か?」
「世間じゃこいつは不幸を呼ぶ剣と言うがねぇ、俺にとっちゃ強者と引き合わせてくれる吉兆の剣さねぇ。まぁ、相手がこうもあっさりと倒されてるんじゃちょいと有難みが薄れちまうんだけどさぁ」

 ブンブンと自慢の刀を振り回して見せる似蔵。その刀は既に似蔵の腕半分まで浸蝕し始めており、最早剣が似蔵の一部になっているのか似蔵が剣の一部になっているのか全く分からなくなってしまっていた。

(おいおい、久々のシリアスパートだってのに、こりゃないんじゃねぇのか? 幾らなんでも相手が相手過ぎんだろう)

 心の中で愚痴りながら銀時は手元を見た。頼りの木刀には所々亀裂が走っている。恐らく次の一撃を防いだら簡単に折れてしまうだろう。それが折れた時、それが自分の最期になるやもしれない。

「悲しいねぇ、桂と言いあんたと言い、かつての猛者がこうも弱くなっちまってるとはねぇ。俺ぁ残念でならないよ。もうちっと骨のある奴かと思ったんだが……とんだ見込み違いだったのかねぇ」
「何が言いてぇんだ? 要点を掻い摘んでから喋れや」
「あんたみたいな古い侍はもう必要ないって事だよ。時代はもうあんた等を必要としちゃいない。あの人を必要としてんのさ。あのガキもかわいそうにねぇ、あんたじゃなくあの人に拾われてりゃ長生き出来たのにねぇ」

 再び栗色の髪の束を取り出しそれを鼻先に近づけて匂いを嗅ぐ。相当気に入ったのか。どちらにしても銀時にとっては不快でしかなかった。
 大事な娘の命の一部でもある髪をあんな輩に持たれるなぞ屈辱以外ないのだから。

「ま、良いさ。あの世で親子仲良く宜しくやってな!」
「!!!」

 来る! 奴が来る! 猛然とした勢いで似蔵が迫ってくるのに対し、銀時は身構
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