暁 〜小説投稿サイト〜
駄目親父としっかり娘の珍道中
第67話 再生怪人が弱いと言う設定は割と通用しない場面もあったりする
[5/10]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
ねぇ。生憎俺ぁ自分の魂は見た事がないから分からないんだが、多分そうなんだろうねぇ……あ、そうだ。すっかり忘れる所だったよ」

 思い出したかの様に呟くと、似蔵は懐をまさぐりだした。そして、懐から束ねられた黒い髪の束を手に取って見せてきたのだ。
 艶のある特徴的な黒髪。あれは間違いなく桂の髪に相違なかった。

「それは、桂さんの……」

 驚く新八の横で『貴様、桂さんになにさらしとんじゃぁ!』と怒りのこもった板を見せびらかすエリザベス。そんな驚く二人の前で銀時もまた目を凝視させていた。

「あの狂乱の貴公子とも言える桂小太郎を斬った記念にと毟り取っておいたんだが、あんたらが持ってた方が奴も喜ぶだろうよ。何せ、あんたと奴ぁお友達だったってんだろ? 白夜叉さんよ」

 そう言い銀時に向かい黒髪の束を放り投げる似蔵。だが、それを受け取る動作をするまでもなく、銀時は脱兎の如く跳躍し、似蔵と距離を詰めた。
 互いに刀を振れば斬られる位置まで接近し、木刀の一撃を叩き込む。それに合わせるかの様に似蔵も刀を抜き放ち応じ出た。

「おいおい、慌てんなよ。まだ開始のゴングすら鳴ってねぇんだぜ?」
「そうやって余裕ぶっこいてろ。その余裕ごとてめぇの寝ぼけた神経を叩き起こしてやる」
「やれやれ、あれを見せてもまだ信じないってのかぁ。しょうがないなぁ……」

 言葉を区切り、似蔵は後方へと飛び退いた。そして、再び懐に手をやり、またしても髪の束を取り出して見せた。その髪の束を見たとき、銀時は、そして新八は凍りついた。

「そ、その髪……てめぇ!」
「あ〜、前にあんたの横でちょろちょろしてたガキが居たなぁ。たぶんそいつの髪だろうよ」

『あの栗色の髪はまさか……』と、震えながら板を掲げるエリザベスの横で、新八は真っ青な顔をしていた。あの髪の色、そしてそれを束ねているリボンは間違いない。

「お前……まさか、なのはちゃんを斬ったのか?」
「あぁ、確かそんな名前だったねぇ。いやぁ惜しい事したねぇ〜。こんな艶の良い髪をしてんだ。さぞかし色っぽい娘だったんだろうねぇ〜。斬るんだったらもうちょっと熟れてから斬りゃ良かったよ」

 さも残念そうに呟きながらも、似蔵は手に持っていた栗色の髪を鼻先に近づけて匂いを嗅いで見せた。その仕草はまるで変態、もしくは狂気じみた輩を連想させられた。

「しかしやはり女の髪は良いねぇ、この艶でこの香り、う〜んやっぱ良い女は髪も良い髪してる―――」

 会話は其処で打ち切られた。無言のまま銀時の猛烈な一撃が似蔵に向かい浴びせられたからだ。無論、その一撃すらも似蔵は刀で防いでいたのだが。

「てめぇ、年頃の娘にとっちゃ髪は命よりも大切だって習わなかったのか? しかもそれを父親の前でちらつかせるたぁ、ぶっ殺し
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ