第67話 再生怪人が弱いと言う設定は割と通用しない場面もあったりする
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目が奪われたのだ。
其処に居たのは、刀を手に持ち薄汚れた緑色の着物を着て、少し風変りなメガネを掛けた終始目を瞑っている男だった。
「この辺りには辻斬りが出るから危ないよ〜〜」
男から発せられた間延びした声。何処か人を小馬鹿にするような癪に障る声が聞こえてきた。
新八はこの男に見覚えがあった。そうだ、あの時の男だ!
以前、橋田屋の件にて自分たちの前に敵として現れた人斬りだった。
確かその名前は―――
「似蔵……あんた、あの人斬り似蔵!」
「おやおや、俺もすっかり有名人になったもんだねぇ〜。お前さんみたいな小僧に名前を憶えて貰えるなんてねぇ〜」
相変わらず間延びした口調が不気味に聞こえてくる。まさか、こいつが桂小太郎を倒した相手なのか?
そうでなかったとしてもこいつが相手では分が悪いどころか勝ち目がないと言える。
奴の居合い切りは正に一瞬の間に起こる出来事なのだから。気が付けば自分が今切られた同心のようになってしまう。
そんなイメージが脳内に浮かび上がると、新八の体が硬直してしまった。
まるで、全身見えない何かに押さえつけられているかの様に微動だにしなかったのだ。
そんな新八の今の心情など知っているのかいないのか、似蔵は不気味に笑みを浮かべて手に持っていた刀についてた血糊を振り払って見せた。
一振りで刀についていた血糊が全て拭い去られる。それだけでも彼の腕前が分かる仕草であった。
勝てない。新八の脳裏に瞬時に浮かんだ答えであった。彼を相手にするには自分では到底役不足だ。
やる気満々のエリザベスが隣には居るが、どれほどの実力かいまいち分からない。下手に挑めば目の前で骸になってしまった同心と同じ運命を辿るかもしれない。それだけは嫌だ。だが、体が言う事を聞いてくれない。
咄嗟に隣に居たエリザベスが新八の腕を掴み後方へと投げ飛ばした。少しでも動けない新八を似蔵から遠ざける為だ。
だが、その結果として無防備な状態を似蔵の目の前に曝け出す結果となってしまった。
そんなエリザベスに似蔵の不気味な笑みが映る。
「え、エリザベス先輩ぃぃぃ!」
跳ね飛ばされた新八が叫ぶ。今から駆けつけても間に合わない。
似蔵の刀が頭上に振り上げられた。
その刹那であった。突如激しい振動と音が響き渡った。余りの音に驚き一瞬目を瞑った新八は急ぎ視界を元に戻した。
其処には先ほどまで持っていた刀を跳ね飛ばされ丸腰の状態となった似蔵と、その似蔵の前に立ち尽くす銀時の姿があった。
「銀さん!」
「やれやれ、妖刀探して回ってたら随分と懐かしい顔に会っちまったじゃねぇか」
呟きながらも銀時の背中からは何時も以上に闘志が芽生えているのが分かる。が、その燃え滾る展開とは裏腹に銀時の下
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