第六章
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第六章
その彼等を見てだ。機長は苦い顔で言った。
「下手したら俺達もな」
「まずいですか」
「これは」
「せめてドイツ本土での脱出は避けたいな」
その爆撃を行う場所ではだ。脱出して降下してもだ。ドイツ兵に捕まるとは限らないのだ。若しドイツ国民、爆撃を受けている彼等に見つかればどうなるかだ。嬲り殺しにされると思った方がいい。
だからだ。機長は深刻な顔になる。正直死を覚悟していた。
敵の攻撃を受けながら爆撃コースを進む。しかしだった。
その彼等のところにだ。ドイツ機が二機来た。メッサーシュミット109がだ。
その彼等が左右から来るのを見てだ。機長は乗組員達に言った。
「ありったけ掃射して弾幕張れよ」
「ええ、さもないとですね」
「俺達ここで終わりですからね」
「鮫だ」
その二機のドイツ機をだ。機長はこう評した。
「鮫に食われたら終わりだぞ」
「ですね。何か周りもやばいですし」
「煙噴いてる機体が目立ちますよ」
「フォートレスはそう簡単に撃墜されはしないさ」
機長は一応はこう言った。
「しかしそれでもな」
「撃墜される時はされますね」
「どうしても」
「墜ちないのは映画の話だけのことだ」
そのだ。アメリカ映画のアメリカ機だけだ。
「わかったな。撃墜されたくないな」
「ええ、絶対に」
「何があっても」
彼等はだ。ここでさらに覚悟を決めたのだった。
その彼等が弾幕を張って何とか敵機を退けようとする。
敵機はそれぞれだ。上と横から狙って来た。墜ちるか墜ちないか、まさにその状況だった。
その極限の状況で誰もが最悪の事態を覚悟した。機銃が今にも火を噴こうとする。
その狙う敵機がだ。急にだった。
上から何かを受けて火を噴く。パイロット達は命からがら脱出しパラシュートが開く。その二つの白い花を見てだ。機長は言った。
「何だ?上から誰か撃ったのか」
「みたいですけれどね」
「別の機の下部銃座ですか?」
「そこから」
誰もが最初はそう思った。しかしだった。
その彼等にだ。通信が入って来た。その通信は。
「コリーが来たぜ」
「おい、荒馬じゃないのかよ」
「ははは、今はコリーなんだよ」
笑ってだ。それだと言ってきたのである。通信の相手は。
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