百日草はただ思う
[1/5]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
花言葉は
「不在の友を思う」「友への思い」「絆」「幸福」
********************************************
百日草はただ思う
◇◆◇シュロ◇◆◇
炬燵の上に積み上げられた書類
シナイちゃんに頼まれた物をまとめ上げていくと書類の山となってしまった
すでにバインダーの数は六個目だ
バインダーに収まりきらなかった分をまとめて整理する
たった二年分の書類でこんなに大量に書類が出来上がるとは思わなかった
書類を見続けて凝り固まった肩をほぐして炬燵に突っ伏した
卓上に置かれた蜜柑に手を伸ばし、半ば無意識のうちに皮を剥く
「かーちゃん、麦茶ー」
台所にいる今生の母に声をかける
ブブッと母の蟲から返事される
・・・口があるんだから喋りゃいいのに・・・
転生してから幾度となく思った
油女一族として、蟲との対話のため沈黙を守るのは仕方ない
だけど、少しぐらい、こういうときぐらい喋っても良いんじゃないのか
一族の中ではオレぐらいしか思わない疑問
シノに言っても当たり前だと言われてしまうため、きっとオレだけの疑問なんだろう
悲しくなるわ
テーブルにおかれたマグカップを啜って?????
「マズッ!?
・・・ちょっとかーちゃん、オレ麦茶って言ったじゃんかー」
差し出されたマグカップの中身は薬草茶だった
好き嫌いをなくしたいという母心は理解するが、薬草関連はもはや好き嫌いじゃすまないんだよ
オレが薬草カレーが嫌いだからと、あの手この手で薬草を食わそうとするのは勘弁してほしい
このまま不貞寝しちまうか
思わず溢れた涙を蟲達が拭いとってくれる
なんて良い子なんだお前たち・・!
口直しに蜜柑を食べながらそう思っていると、玄関で物音がする
この気配、兄貴だな
「ただいまー・・・おぉシュロ!
珍しい、帰っていたのか!ごはん食べに行くか!?」
帰宅して早々うるせェ
そもそも玄関入った時点でオレの気配に気づいてるもんだろうに
誘い方がわざとらしすぎる
「行かねー
・・・あ、これやるわ」
一口しか飲んでいない薬草茶を手渡す
そういや、今日はフーは来てないんだな
珍しい
「! シュロが淹れてくれたのか!」
ううん、淹れたのママンだから
だから嬉々として飲むなブラコン
まぁこういう時はスルーするに限る
「ん?シュロ、今日は任務休みか?なんで書類?」
炬燵脇
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ