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蜻蛉が鷹に
第九章

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第九章

 観客達はだ。言葉を失った。
「すげえ・・・・・・」
「あのパイロット凄いよ」
「あれが自衛隊か」
「あんなパイロットがいるんだな」
「あれは」
 そしてだ。この言葉が出された。
「アメリカ軍より凄いな」
「ああ、完璧だよ」
「あんなパイロットいたのか」
「自衛隊凄いぜ」
 観客達はアメリカ軍に対するのよりも唸っていた。そうして終わった時にだ。
 最高の歓声がだ。彼等を包んだのだった。
「最高だよ!」
「自衛隊凄いよ!」
「そこまでできるなんてな!」
「よくやったよ!」
 この歓声を聞いてだ。それぞれの機体から降りてだ。彼等は満足した笑みを浮かべていた。
 そうしてだ。彼等はその笑顔で言い合うのだった。
「やったな」
「そうだな」
「自衛隊の面目躍如だ」
「俺達だってやれるんだ」
「こうしてな」
「当然だ」
 ここでだ。浜尾がこう言った。
「これもな」
「当然ですか」
「そうなんですか」
「俺達にも意地がある」
 その意地がだというのだ。
「何としてもやろうというな」
「そうですね。負けていられませんからね」
「アメちゃんにも」
 彼等もだ。意地と言われるとわかるのだった。
「我が国を守るのは俺達ですし」
「自衛隊ですしね」
「あの時のことは忘れない」
 浜尾はこんなことも言った。
「絶対にな」
「敗戦の時ですね」
「あの時ですよね」
「俺達だってそうですし」
 彼等もだ。あの時代に生きていた。。陸軍の者も多い。だからこそだ。浜尾の今の言葉はよくわかるのだった。彼と同意であるのである。

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