第9話 Accelerating Turn 4
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言いながら、もう一度カズトは走り出す。今度は直線的なものではなく、ジグザグと捉える事が難しい動き。
しかも、速さは先ほどよりも上がっているようだった。
その証拠に、走っていった足元には、所々陥没しており、カズトの速度と破壊力を表しているようだった。
カンナヅキも、アクセルをできる限り使い、カズトから逃げようとする。
単純な速度なら、彼女の方が上だろう。
だが、速度だけではカズトから逃げ切ることはできない。
今の二人の関係性は、追う側と追われる側という物だ。当然、追う側に位置するのはカズトの方だ。
速度で少し劣るなら、五感を研ぎ澄ませ、敵の動きを予想していけばいい。
カズトには、カズハとの特訓によって、その技術が身についていた。
「捕まえたぞ。」
故に、カンナヅキが捕まるのは、もはや必然だった。彼女の右手首を、折れんばかりの握力の左手で掴む。
右手に握りしめたグラディウスは、バチリと、唸るように光る。
「死ぬな、よ!」
その一閃は、まるで夜空に光る雷光の様に、カンナヅキの体を横に切り裂いた!
ギャリリリリリリリン??????????
何かが割れる音と共に、カンナヅキはゴロゴロと転がりながら吹き飛ばされた。
だが、その体に傷は一つもない。
その代わりに、カズトからカンナヅキにかけての地面の彼方此方に金属破片が数多く散らばっている。
「へぇ、あんた凄いな。」
おそらく、カンナヅキはカズトの斬撃を無数のダガーを重ね合わせる事により、威力を軽減、さらに後方に加速することでダメージを限りなくゼロにしたのだろう。そんな技は、相当の実力ではないとできないはずだ。
右手でグラディウスを握り直し、切っ先をカンナヅキへと向けた。
それは、行くぞという合図。カズトの口元は、まるで野生の狼のように、獰猛な笑みを浮かべていた。
「あんた達、いつまでボサッとしてるの!早くフリージングをかけなさい??」
彼女も、その笑みに危機感を感じたのか、取り巻きのリミッターに命令を出す。だが、フリージングどころか、返事すらも帰ってこない。
それに苛立ち、振り向いた。
「何をやってるの!はやく……!」
振り向かなければよかった。
気づくべきだったのだ。
カズトのフリージングが解けた時に。
もしかしたら、もう一人のフリージングも解けているのではないかと。
「……………」
無言の圧力、どころのものではない。
振り向いた先にいたのは、自分のリミッター達。だけではない。
そのリミッターは、カズトに投げ飛ばされた一人を除いて、彼女に叩き潰されていたのだから。
「サテライザー……先輩……」
カズトは、彼女の様子に唖然とする。
その美しい顔は、怒りにまみれ、
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