第六章
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第六章
「それはいいことだな」
「それでアメリカ軍にも負けていないって」
「そうも言われてますよ」
「そうした風にも」
「何っ、それは本当か?」
この言葉にはだ。彼は反応を見せたのだった。
「本当にそう言われてたのか」
「はい、そうです」
「その通りです」
「そう言われていますよ」
同僚達がだ。その彼にまた話した。
「アメリカ軍のパイロットにも」
「負けていないって」
「それはいいことだな」
ここでだ。彼は笑みになって話すのだった。
「アメリカに負けていられるか」
「ですよね。俺達だって国を守ってるんですから」
「だったらアメリカ軍にもですね」
「負けていられませんよ」
「本当に」
「曲芸でも何でも負けてたまるか」
これが今の彼の考えだった。
「いいな、俺達は負けないからな」
「ええ、じゃあまた練習しますか」
「これから練習ですしね」
「今からまた」
「月月火水木金金だ」
海軍時代の言葉をだ。ここで出すのだった。
「訓練あるのみだ」
「そうしてですよね」
「やっぱりよくなりますよね」
「訓練あってこそ」
「そういうことだ。隊長もそう仰ってるな」
「はい」
そうだというのだった。彼等もまたかつて海軍や陸軍にいた。だから軍の感覚をまだ残してだ。そのうえでやり取りをしているのだった。
「もっともっと練習をするぞと」
「仰ってます」
「そういうことだ。やっていくぞ」
浜尾はすぐにヘルメットを被りだった。自分の機体に向かうのだった。
そしてその後に同僚達が続く。彼等は日々練習を続けていた。
そんな中でだ。浜尾にだ。司令がこう話してきた。
「アメリカ軍とですか」
「そうだ、共同でな」
「ショーを行うのですか」
「上の方でそう決定した」
司令はこう話すのである。
「そうな」
「そうですか」
「それでだ」
そのことを話したうえでだ。司令はまた浜尾に言ってきた。
「君はどう思うか」
「私がですか」
「まだアメリカが嫌いだな」
このことをだ。具体的に問うたのである。
「そうだな」
「否定はしません」
そしてだ。浜尾もこう返した。
「それは」
「そうだな。やはりな」
「しかしです」
「しかしか」
「任務とあらばです」
構わないというのである。浜尾はここでも自衛官、もっと言えば軍人であった。そうした意味で彼は生粋の軍人であると言えた。
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