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蜻蛉が鷹に
第五章
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第五章

「アメリカの」
「セイバーだ」
「それだ」
「いい機体です」
 それは浜尾も認めた。
「日本軍の戦闘機とはまた違ったよさがあります」
「そうだな。それでだが」
「いいだろうか」
 ここで上官達の言葉が変わってきた。
「今度新たな部隊が新設される」
「ブルーインパルスといってな」
「ブルーインパルス」
 その聞き慣れない言葉を聞いてだ。浜尾は眉を顰めさせた。
「何ですか、それは」
「航空ショーを行う部隊だ」
「そのセイバーを使ってな」
「ショーですか」
「そうだ、国民に見てもらい楽しんでもらう為のな」
「そうした部隊だ」
「それはまた」
 その話を聞いてだ。浜尾は眉を顰めさせたまま言うのだった。
「変わった部隊ですね」
「しかしそれには相当な技量が必要だ」
「色々なアクロバットな技を国民に見せるからな」
「それでだ」
「君にその部隊にだ」
「入ってもらいたいのだが」
「見せる部隊ですね」
 浜尾もここで言った。
「私に」
「君にはその技量がある」
「だからだ」
「それで、ですか」
「そこに行ってもらいたい」
「いいか」
 また彼に告げた。そしてだ。
 彼にだ。決断を促すのだった。
「それでどうするのかね」
「君は」
「私はです」
 彼はだ。考える顔であった。そうしてであった。
 その考える顔でだ。こう上官達に対して告げた。彼も決断したのだ。
「アメリカともう一度戦う為にここに来ました」
「自衛隊に」
「そう言うのだな」
「はい」
 その通りだというのだ。
「しかしです。私は自衛官です」
「それならば」
「そう言ってくれるか」
「はい、そうです」
 その通りだというのである。彼はだ。
「ですから。ブルーインパルスに行かせてもらいます」
「うむ、それではだ」
「頼むぞ」
 こうしてであった。彼はブルーインパルスに入隊することになった。彼は空で戦う戦士から空で曲芸を見せる男になったのである。
 その彼の腕はだ。見事なものであった。伊達に参加を促されたわけではなかった。
「凄いな」
「ああ、連続宙返りか」
「それも地面すれすれでやるか」
「あんなことできるなんてな」
「あのパイロット凄いぞ」
 こうだ。観ている者達が驚きの顔で言うのであった。
「自衛隊ってあんなパイロットいるんだな」
「アメリカ軍と比べたら全然落ちるって思ってたけれどな」
「意外とやるか?」
「そうだよな」
 こう言われるのだった。そしてだ。
 このことはだ。浜尾の耳にも入った。彼に同僚達が話してきたのだ。
「浜尾さん凄い評判になってますよ」
「もう腕が半端じゃないって」
「空自にもあんなパイロットいたんだって」
「言われてますよ」
「そうか
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