第六章
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第六章
そしてそのうえでだ。やれやれといった顔で彼等に話す。
「戦場で負けてもか」
「それでも戦争には勝てるんだな」
「どれだけ負けても」
「そうだよ。俺達みたいにね」
「それができるからね」
「大切なのは」
それが何かも話す。
「如何に生き残って国を存続させるかじゃない」
「だから。戦争なんてしなくてもいいんだよ」
「あんな怖いの二度としたくないよ」
戦争は怖い。このことは素直に言う。
「けれど。国は残ったから」
「俺達はもうこれでいいよ」
「満足してるよ」
「納得できないな」
「そうだな」
ドイツ人達はそんなイタリア人達の言葉を釈然としない顔で聞いていた。どうしても納得できない。もっと言えば納得できるものがない。
しかしだ。それでもだった。彼等もだ。
そんなイタリア人の言葉を否定しなかった。納得できなくともだ。それでも否定はできなかった。無意識のうちにそうなっていた。
そんな彼等にだ。イタリア人達は陽気にこう言ってきた。
「それならね」
「それなら?」
「それなら。何だ?」
「何だというんだ」
「何か食べない?」
食事をだ。ドイツ人達に勧めるのだった。
「パスタあるよ。チーズもね」
「それとワインもね」
「こっちも戦争の後だからあまり質はよくないけれど」
「どう?一緒に」
「食べる?」
「そうだな」
そう言われるとだった。そのドイツ人達もだ。
堅苦しい考える顔になった。だがそれでもだ。
そのうえでだ。こうイタリア人達に答えた。
「正直なところ腹が減ってるしな」
「戦場じゃ碌なものを食べていなかったしな」
「パスタか。嫌いじゃない」
「チーズもワインもな」
これが答えだった。そしてであった。
彼等はイタリア人達の誘いに乗った。そのうえで。
「じゃあな。一緒にな」
「食べさせてもらう」
「慎んでな」
「遠慮なんていいよ」
「そんなのいらないよ」
イタリア人達はドイツ人達に気さくに返す。
「一緒に戦った仲じゃない」
「色々と助けてもらったしね」
「だからさ。仲良くね」
「仲良く一緒に食べよう」
「だから御前等一番最初に降伏しただろ」
またこのことを話すドイツ人達だった。彼等の能天気さにはどうしても言わざるを得なかった。
「全く。それで戦勝国側にいてか」
「そう言うか」
「いいからいいから」
「戦争は終わったんだしさ」
「仲良くしよう」
「そうしよう」
そう言われても本当に変わらないイタリア人達だった。そうしてだ。
ドイツ人達にだ。そのパスタやチーズ、ワインを出してであった。
彼等と共に食べるのだった。かつての戦友達と共に。そしてそれをだ。何だかんだで受けて一緒に食べることにはやぶさかではな
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