第五章
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第五章
「俺達は勝ったんだ」
「勝って戦争を終わらせたんだ」
「そうしたんだよ」
「何に勝ったんだ」
呆れながら言うしかなかった。ドイツ人にとっては。
「あれだけ負けて」
「戦場で逃げてばかりだったのに」
「それでもか」
「あんた達もよかったね」
だが、だ。イタリア人達はだ。にこやかにドイツ人達にだ。こう声をかけるのであった。
「もう戦争は終わりだよ」
「終わりっておい」
「御前等が言うなよ」
「全くだ」
ドイツ人達は怒った顔で言い返す。
「御前等ずっと負けまくって真っ先に降伏してな」
「日本なんてまだ戦ってるんだぞ」
「ちょっとはあの連中を見習え」
「俺達は負けたけれどな」
ドイツ人達はこう言う。しかしだ。
イタリア人達はというとだ。能天気なまでの笑顔でだ。そのドイツ人達に見事に切り返す。何とも思っていないといった笑顔だ。
「だから。戦争に勝たなくてもね」
「勝たなくても何だ」
「どうなるっていうんだ」
「国が存続するとでもいうのか」
「そう言うつもりか」
「そうだよ。その通りだよ」
まさにその通りだとだ。能天気なまま返すのだった。
「実際に俺達ここにいるじゃない」
「戦勝国だよ、戦勝国」
「俺達戦いに勝ったんだよ」
「だから何時勝ったんだ」
ドイツ人はまた言い返した。
「三回のうち五回か八回は負けてただろうが」
「それで何で戦勝国だ」
「そういえば何かそっちにいるけれどな」
「それも訳がわからないな」
「ムッソリーニは死んだし」
正確に言えば頃された。それで死体は宙吊りにされた。
「戦争を起こした本人がね」
「俺達はそれで降伏して。連合国についたから」
「だから俺達戦勝国なんだよ」
「そうなんだよ」
「全く。現金な奴等だ」
「本当にな」
イタリア人達の話を聞いてだ。呆れた様に話すドイツ人達だった。
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