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鎧虫戦記-バグレイダース-
第07話 逆襲のサバキ
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サバキはそうつぶやいた。
そして両手を前に差し出した。

「絡まりな」

そう言うと、指先から糸を射出した。
糸がセキレイに絡まってセキレイは完全に固定された。

「い、糸!?蛾って糸が出せんのか!?」


本来は幼虫の時しか出せないが
“選択的発現”によって、糸を出す器官が手の中に発現している。

ちなみに、構造的には非常に細い管が
指の中に通っていて、そこから糸を射出する。
曲げたり、動かしたりする上での支障はほとんどないらしい。


「糸の強度はワイヤー並みに高いからな。
 それを切るってのは、中々骨が折れるだろうぜ」

サバキは笑いながら言った。
しかし、セキレイは余裕の表情だった。

「このまま、おれをどうするつもりだ?」

彼はがんじがらめ状態のまま訊いた。

「お前は動く必要はない。残りの奴らを毒で弱らせた上で―――――」
「おれと一緒に殺す、か」

セキレイはサバキの言葉を遮るように言った。
サバキは少し不満そうな顔をした。

「だが、どうやって殺すんだ?」

セキレイは挑発的に訊いた。

「蛾の攻撃力はたかが知れてるし、毒もこの状態なら効かない。
 そんなおれをお前がどうやって殺すんだよ?」

サバキはこの一言を聞いてキレ――――――はしなかったが
そこそこムカついたのだろうか、眉間にしわが寄っていた。
彼は何というか、意味深な表情をしていた。

「俺には攻撃力がないと?」

彼はセキレイに少しわざとらしい声で訊いた。

「そうさ、お前の攻撃力なんて―――――――――!!?」

セキレイは最後まで言うことが出来なかった。
何故なら、突然セキレイをがんじがらめにしていた糸が
彼の身体を締めつけ始めたからである。

「‥‥‥‥うッ‥‥‥‥ご‥‥‥‥がっ‥‥‥‥‥」

セキレイはこれ以上声を出すことが出来なかった。
締め付けられている為に声が出しにくくなっているからである。
彼の硬質化した身体を苦にせず、糸は身体に深くめり込んでいた。

『″超重堅鋼《ヘビメタ》″が封じられてるわけじゃない。
 アイツは能力を使えなくする″超技術″ではないみたいだ。
 だが、おれの身体にめり込んで全く動けない‥‥‥‥‥』

ピンと張った糸はセキレイの硬質化した皮膚に
まるで硬さがないかのようにめり込んでいた。

『一体何なんだコイツの能力は!?』

サバキの不敵な笑みの前でセキレイは心の中で叫んだ。
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