第07話 逆襲のサバキ
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素肌の部分が赤く炎症を起こしている。
他のみんなも各々不調を訴えていた。
「俺も手足が痛くなってきたぜ‥‥‥‥‥」
「彼の鱗粉が当たった部分が痛むわ‥‥‥‥まさか毒?」
カツコは痛みで少し辛そうな顔をしてつぶやいた。
サバキは誇らしげに鼻を鳴らすと叫んだ。
「ハッ、そうさッ!俺の″超技術″じゃなく俺自身の能力だ!!」
彼の能力は“大糸斑蛾《オオイトマダラガ》”である。
※現実にはおそらく存在しません。
207×年ー○月□日にアメリカのとある州で発見。
繭の時の模様と成虫の羽の模様が共にまだら模様ゆえに名付けられた。
幼虫が出す糸の耐久力が非常に高く、その地域では養蚕業が発達した。
それは、束ねれば鋼鉄ワイヤー並みの強度になるらしい。
成虫は全身の毛に毒があり、威嚇時は羽ばたいて鱗粉ごと散布する。
毒の毛は皮膚に触れると軽度のかぶれ、炎症を起こし
放っておくと皮膚が壊死し、挙句の果てには剥がれ落ちるという。
乱獲が進んだせいで207△年に絶滅危惧種に指定された。
だが乱獲は止まらず、ついに208×年に完全に絶滅した。
「何にせよ早く治療した方がいいぜ?」
サバキは顔を歪ませて言った。
「場合によっては一生モノの傷が残るからな」
パァァァァ!
カツコは″治療光線″を照射した。
手にあった炎症が少しずつ治り始めた。
「治せなくは‥‥‥‥‥ないわね」
彼女の手に付いた毛がパラパラと落ちていった。
皮膚の細胞の再生によって軽く刺さった毛が抜けていったようだ。
「二人も治してあげるから早く来なさい!」
そう言いながらカツコは急いでこの場を離れた。
二人もそれを追いかけて行った。
「そう簡単に行かせるかよ!」
ブワッ!
サバキは大きく翅を羽ばたかせた。
再び毒の毛を含んだ鱗粉が全員の元へと襲いかかった。
「煙たいんだよッ!!」
ビュオオッ!
セキレイは再び翼を羽ばたかせた。
毒の鱗粉はさっきと同じように吹き飛んだ。
「‥‥‥‥‥もう無駄のようだな」
サバキはそれを見ながらつぶやいた。
そして、彼は羽ばたくのをやめた。
「おばさん、おれには″超重堅鋼《ヘビメタ》″があるから大丈夫だ」
ガキイィィィン!
セキレイの身体はすでに超硬質の物体に覆われた。
弾丸さえ弾くこの状態なら鱗粉など恐れるに足らないだろう。
「じゃあ頼むわね、セキレイちゃん!」
「負けないでね、お兄ちゃん!」
「油断はするなよ!」
それぞれがセキレイに声をかけた。
彼はそれにうなずいて応答した。
「だが、俺の攻撃が終わったわけじゃない」
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