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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第三十六話 2000年の負債
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の体裁だけは整えた。後はセルシウス、それにジランドさんがお互いを認め合えば、使役の負荷は消える。ジランドさんは助かる。

 そろーっとおでこを離す。セルシウス、薄紅の目を大きく開いて、ちゃんとわたしを映してビックリしてる! やった! 正気に戻った。


 ――ズンッ


「うあ!?」
「な、んだよ…これ…!」
「押し潰されちゃいますっ」『おーもーいー!』

 この力。わかる。知ってる。こんなことできるの、一人しかいない。
 ミュゼ、だ。何でか知らないけど、ミュゼが船とわたしたちごと、〈クルスニクの槍〉を潰そうとしてるんだ……! 妹のミラさまもいるのに!

 何でか、なんて考えてる暇、ない。
 わたしは〈妖精〉。精霊の力を使うのに詠唱や動作は要らない。ただ、想って、祈るだけでいい。
 ほんの少しの間、パパたちが逃げる間だけでいい。この船を守るだけの力を!

「っ、重さが消えた?」
「今の内よ! みんな!」
「逃げるが勝ちかってか!」

 アルが一番に立ち上がって、イバルとエリーゼを両脇に抱えた。

「ひゃっ」
「おい貴様!」
「文句は後だ! ――ヴィクトル!」
「今行くっ」

 みんな、パパも、大丈夫っぽいね。よかった。

 ちょっとずつ重さが戻ってくる。やっぱ人間のフェイじゃ、大精霊のミュゼには勝てな……

 ガラスの床に物凄い亀裂が入った。そこ、ジランドさんとセルシウスがいるとこ…! このままじゃ二人とも落ちちゃう!

 セルシウスが浮かび上がった。そして、手を、伸ばしたんだ。
 他でもない、自分を操った、ジランドさんに。

『マスター、手を!!』
「セルシウス……チィ!」

 ジランドさんはセルシウスの手を掴み返した。
 ジランドさん、セルシウスを受け入れてくれたのね。よかった。本当によかった。

「崩れるぞ! 急げ!」

 セルシウスがジランドさんの腕を肩に回させてアルのとこまでひとっ飛び。これで、後は。

「ユースティア!」

 ユースティアは〈槍〉の制御システムの前に膝を突いて動かない。動けないのか動こうとしてないのかまではここからじゃ分かんない。

 ガラスの割れ落ちた床から飛んで向かう。

「フェイ! 待て!」

 待てない。ごめんなさい、パパ。あの子は、同じ世界線には絶対一緒にいない子だけど、フェイのイトコで、ユリウスおじさんのムスメだもの!

 何とかコンソールまで着いた時、彼女は一本打法で何かをキーボードに打ち込んでた。

「何してるの! 早く逃げなくちゃ」
「まだ、だめ。やることが、あるの」

 紫暗の重力に潰されてるはずなのに、彼女の指は停まらない。

「コスト…パフォーマンス、人間…しか燃やさ、ない、よ
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