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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第三十六話 2000年の負債
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た。そしてこれから生まれてくるクルスニクの子全てがコレに蝕まれながら生きなきゃいけない」

 怒っている。ああ、この子は精霊に怒っているんだ。クルスニク一族の痛みを全てマクスウェルのミラにぶつけようとしているんだ。
 どこかの世界で、俺が、兄さんが、親やもっと上の先祖が味わった痛みを、訴えようとしてくれている。

「自業自得なんて言わないでよ。ワタシたちは何も選んでない。あったのは、最初から黒匣がないと生きられない、そう生きるのが当然な世界だけだったのよ。その業は、こうして」

 炭化した半身を誇示するように両手を上げ、悲痛な声でユースティアは叫ぶ。

「引き受けてあげてる。2000年律儀に、アナタとクロノスとオリジンとの盟約を、守り続けた。それでもエレンピオス人を責めるっていうの?」
「私は事実を言っただけだ」
「この人たちの今を自業自得なんて言うのは、ワタシが絶対、許さない。『槍』は壊させない。ボスもセルシウスも傷つけさせない。アナタを殺して、『槍』で断界殻を消して、ワタシはこの人たちをエレンピオスに帰す」

 ! 再び時計を……変身して戦うつもりか?
 よせ! 因子化が表皮に出るのは末期症状だぞ。これ以上は本当に君が時歪の因子になってしまう!

「もうやめようよ」

 フェイリオ、そんな無警戒に近づいては危な…!

 フェイリオは時計を握るユースティアの手を両手で包んで笑った。かと思うと、ユースティアに抱きついた。




/Fay

 抱き締めた体は意外とちっちゃかった。フェイもやせっぽっちだけど、ユースティアは痩せてるっていうより、小さい。
 こんな体で戦ってきたんだね。アルとジランドさんのために。

「あなただって疲れたでしょ? 体中イタくて堪らないんでしょ? 知ってるよ。フェイも一度、時歪の因子化したことあるから。ホントにイタイよね。イタイのに今日までよく頑張ったね」
「あな、た」

 体を離して、にこり、笑いかける。
 それからわたしは、彼女の後ろにいるジランドさんとセルシウスのとこへ行った。

 小匣を両手で拾う。これが試作型源霊匣。ジュードたちが造ったのより大きくてゴツゴツしてる。

「ジュード言ってた、源霊匣の基礎理論はこの時点で完成してたって。だったら、足りない最後のピースが何かなんてすぐ分かるわ」

 すぐそばにいたセルシウスの右手をひっぱる。ジランドさんの左手をひっぱる。
 ちょっと強引に、二人の手の小指を出させて、繋がせた。
 指切り。約束のしるし。このセルシウスへの〈証〉。

 セルシウスのおでこにおでこを重ねて、霊力野を繋ぐ。()(つけ)にちょっと乱暴にマナを揺さぶった。

「セルシウス――  お き て  」

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