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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第三十六話 2000年の負債
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/Victor

 ハンマーを振り抜いてセルシウスの腹を強打した。二度目になるが、許せよ、セルシウス。

「かっは…!」

 セルシウスはジランドの横に転がった。

 ジランドもアルヴィンとの戦いで消耗して立てないはずだ。ユースティアは気を失っている。ここまでやれば充分に我々の勝利になりうる。

 投降しろ、と呼びかけようとした時、私の横を抜いてミラがジランドたちの前に立った。

「リーゼ・マクシアは私が守る。貴様の野望もここで終わりだ、ジランド」
「ミラ様ッッ!」

 ジランドたちとミラの間に割り込んだのは――イバル!?

「お待ちください。俺は共に旅したあいつらから聞きました。本当の意味で世界を守るには、この者たちが必要不可欠なのだと。お願いします、ミラ様。どうか命まではっ」
「お前はいつまで私の巫子のつもりでいる? お前の任はすでに解いた。お前が助命を嘆願しようが、私には意味がない。どけ」

 ミラがイバルを押しのける。

「ミラ! 殺さないでください。その人たちだけは」『アルヴィンやメイスにとっては最後の希望なんだよー!』
「エレンピオスにとっては希望でも、リーゼ・マクシアには最大の脅威だ」
源霊匣(オリジン)なら霊力野(ゲート)のないエレンピオス人だって使える。黒匣(ジン)みてえに精霊を殺さない。あんたが心配する精霊に害はない。だから」
「その源霊匣が世界中の人の手に行き渡るまで、人の時間で何年かかる? その間に死ぬ精霊は幾千幾万に上る?」
「ミラはリーゼ・マクシアしか大事じゃないんですか!? エレンピオスにだって、きっと人も精霊もたくさんいるのに!」
「そうだ」

 ――今、何と言った? ミラは何と答えた?

「エレンピオスの滅びは必定だ。黒匣を使い続けた彼らの自業自得。そしてこれから黒匣を使い続け精霊を殺し、世界を殺し続ける彼らの罪」
「――それは筋違いだわ、マクスウェル」

 ユースティアっ? あれだけやってまだ立つ力があったのか。手加減したつもりはなかったのに。

 ユースティアはふらつきながらも、ジランドとセルシウスを庇うように、我々の、いや、ミラの前に凛と立った。

「選んだのは2000年前の民。そしてその贖いのために、エレンピオスのワタシの一族は今も理不尽に精霊に殺され続けてる」

 ユースティアはおもむろに鎧を外し、アンダーを脱いで上半身を曝け出した。
 彼女の上半身は黒ずみ、ほとんど白い肌がなかった。

時歪の因子(タイムファクター)化……」
「何千年も前に精霊からかけられた呪い。これが全身に回ったらワタシたちは死ぬこともできずにただの歯車にならなきゃいけない。とーさまも、叔父貴もエル姉も、おじいちゃまもおばあちゃまもコレに侵されて
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