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エクシリアmore −過ちを犯したからこそ足掻くRPG−
第三十五話 証せ、汝の身命を賭して
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はマスターの精霊だ」
「今のあなたは本当のあなたじゃない!」
「炎よ」

 ミラさま!? フェイ、まだセルシウスとお話してたのにっ。

 イフリートの炎に焙られたセルシウスの傷口から、アイスブルーの光滴がしたたる。

 どうして黒いミラさまは分かろうとしてくれないの? セルシウスは同じ大精霊でしょう?

「イフリート。もう一度だ。次は仕留める」
「ミラさまッ」

 やめて、だめ。まだセルシウス、元に戻ってないのに。セルシウス自身のココロ、取り戻せてないのに。

「だありゃあああああッッ!!」

 この声。アル!

 ふり向く。大剣を大上段から振り下ろしたアルと、その斬撃をまともに浴びたジランドさん。

「マスターっ……く、どけぇ!!」

 うっぷ……すごい寒波っ。雪で前が見えない。冷たくて顔がイタイ。

 寒波がなくなった時には、セルシウスはもうジランドさんのそばに行って、代わりにアルやイバルと戦ってた。

「みんな、セルシウスを殺さないで!」
「分かってらあ!」

 わたしも行ってアルとイバルの援護しなきゃ。エリーと一緒なら回復術も使え……

 がくん。

 っ、ミラさま? 離してっ。フェイ、行かなきゃいけないのに。

「あれはリーゼ・マクシアの人と精霊を害す側に回った精霊だ。何故そこまで庇う」
「害したりしないよ。セルシウスはちゃんとわたしたちのこと守ってくれる。今は源霊匣(オリジン)が未完成だからあんなになってるだけ。元に戻してあげたいの」

 ミラさまに掴まれた手首、イタイ。どうして? わかんない、ミラさまの考えてること、全然わかんないよ。

 その時、向こう側でおっきい音がした。

 パパだ。パパがセルシウスをハンマーで打ったんだ。
 やられたことないから想像だけど、あれ、絶対イタイ。思わず胸が痛くなった。正気に戻すためでも、操られてるだけのセルシウスにあそこまでしちゃった。

「決したか」

 ミラさまがようやく手を離してくれた。

 ミラさまは何の感慨も浮かべずに、倒れてるジランドさんとセルシウスのほうへ歩いて行く。
 このままミラさま一人行かせちゃだめな気がして、わたしも急いで追いかけた。
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