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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十四話 毒
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た。そろそろローエングラム侯の声明が出ると思います」
「ではここでもう一度ダメージを与えるか?」
「いえ、総司令官閣下。今回は毒として浸透させたいと思います」

毒、という言葉に皆が顔を見合わせた。
「既にローエングラム侯の部下の一人にそれを渡しました。少しずつ密かに広げていく。ローエングラム侯が気付いた時はどうにもならない程に浸透させていく。リヒテンラーデ公の周辺とマリーンドルフ伯の周辺にも毒を埋め込みたいと思います」
ヒヤリとするほど冷たく聞こえた。“どんな非情な策であろうと勝つためには使う。卑怯卑劣と罵られようともやる”。口だけじゃない、本気でやろうとしている。

「シュトライト、任せて良いか?」
「はっ」
「そして予定通り、リッテンハイム侯の軍を使って辺境星域の奪還を目指します。エルウィン・ヨーゼフ二世陛下を奪いました。向こうはブラウンシュバイク公が手中に収めたと見る筈です。リッテンハイム侯はそれに反発して辺境星域奪還に向かったと思うでしょう」

リッテンハイム侯が笑い声を上げた。
「なるほどな、陛下を攫ったのはそれが目的か。となればブラウンシュバイク公から私に援軍が出るとは思わぬだろう」
リッテンハイム侯の言葉に皆が笑顔で頷いた。エーリッヒだけが頷かない、笑みを見せない。

「ローエングラム侯の軍は補給に不安を抱えています。こちらは貴族達を使ってリッテンハイム侯に競り合うかのように攻撃を本格化させます。ローエングラム侯の目をこちらと辺境に集中させ補給の不安を煽る。そして何時か、オーディンの毒がローエングラム侯を襲う……」
エーリッヒがじっと俺を見た。“敵である事を惜しまれるよりも憎悪されるぐらいでなければ彼には勝てない……”。そう言っているように聞こえた。







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