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IF物語 ベルセルク編 銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第十四話 毒
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……」
已むを得ず受け取ったが後悔と後ろめたさが胸に押し寄せてきた。
「あの三人にはそれの存在を知られないようにしてください」
「あの三人……」
リヒテンラーデ侯、グリューネワルト伯爵夫人、マリーンドルフ伯爵令嬢の三人か、あの三人が絡んでいる?
「それとローエングラム侯とオーベルシュタイン総参謀長にもです。危険です」
思わず掌の上のチップを見た。人払いをしてまで渡した事を秘匿しようとしている。禍々しい瘴気を漂わせているように見えた。フェルナー少将に“早くしまって下さい”と言われて慌ててポケットに入れた。少将は緊張している、かなりの代物のようだ。
「メックリンガー提督はクレメンツ提督と士官学校で同期生だったそうですね」
「そうだが……」
「四回生の頃から髭を生やし始めたと聞きましたが」
何の話だ? 今更……。通路に人質を連れた兵士たちの姿が見えた。なるほど、当たり障りのない会話をしていた、そういう事か。
「そうだな、確かその頃からだろう」
「クレメンツ提督が閣下の事を若い頃から身嗜みが良かった、お洒落だったと言っておられました」
「残念だが男からの評価が高くても余り意味が無い。肝心のご婦人達からの評価は低くてね、まだ独身だ」
軽く笑い声を上げるとフェルナー少将も釣られた様に笑い声を上げた。
人質が引き渡された。三人とも顔色が良くない、そして憔悴している。チップの事を思い出した。あれが関係しているのだろうか? 何が記録されているのだ?
「間違い有りませんか?」
「確かに、人質は解放して貰った」
「では、お気を付けて」
「うむ」
互いに礼を交わしてスクルドを後にした。“お気を付けて”か……。意味有り気に聞こえたのは気の所為だろうか?
帝国暦 488年 8月 26日 ガイエスブルク要塞 アントン・フェルナー
ガイエスブルク要塞が爆発した。実際に爆発したわけでは無いが爆発したとしか言い様のない騒ぎに包まれている。皇帝エルウィン・ヨーゼフ二世を擁した事、ローエングラム侯を完膚なきまでに論破した事、そして大量の補給物資。誰もが頭のネジが二、三本吹っ飛んだんじゃないかと思うくらいに弾け飛んだ。
貴族達はエーリッヒを褒め称え、いや崇め奉った。“糾弾者ミュンツァーの再来”、“帝国の守護者”、“古今無双の名将”、“帝国の勝利の剣”、美辞麗句の嵐だ。いい気なもんだ、エーリッヒの苦労を知っている俺にはとてもじゃないがそんな事は言えない。
ブラウンシュバイク公とリッテンハイム侯は新無憂宮を砲撃した事を驚いていた。“余り無茶をするな”、“公に心配をかけるな”、二人の言葉にエーリッヒは素直に頭を下げた。二人は満足そうだったけど俺は騙されない。必要と判断すればエーリッヒはまた無茶をす
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