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空の騎士達
第七章
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七機のメッサーシュミットがいるだけであった。
「逃げたか」
「何だ、思ったより歯応えがなかったな」
 クルーデンの言葉にシュトラウスがこう返した。
「所詮イワンはイワンってことか。下手糞揃いだぜ」
「そうだな。しかし」
「ああ、わかってるさ」
 シュトラウスはアルトマンの言葉に応えた。
「これで終わりだな」
「そうだな。西へ向かおう」
 彼は仲間達にそう促した。
「俺達の戦闘は終わりだ。後は」
「連中が陸軍の援護をしてか」
 彼等の目の前にスツーカの編隊がいた。陸軍の援護に向かっているのだ。
「そうだ。それで全て終わりだ。俺達ルフトバッフェは」
「これでか」
「ああ。これでな」
 ハイトゥングに応えるアルトマンの言葉には何の感情もなかった。込めるつもりもなかった。
「何もかもだ」
「スツーカの護衛は?」
「あの連中がするみたいだな」
 見ればスツーカの上にはフォッケウルフがいた。
「あいつ等がな」
「そうか。じゃあ俺達は終わりだな」
 ホイゼナッハがそれに応える。
「そういうことだ。じゃあ西に向かうぞ」
「わかった。ところでよ」
「何だ?」
 ヘンドリックの言葉に応じてきた。
「これで終わりなんだよな」
 彼はまたそれを言ってきた。
「俺達の戦いは」
「・・・・・・ああ」
 アルトマンの声は沈んでいた。
「そうだな。もうこれで」
「ドイツもか」
「・・・・・・かもな」
 それを否定することは無理だった。今の状況では。
「もうベルリンもな。今頃は」
「そうか」
「けれどな」
 それでも彼は言う。
「次があるだろう」
「次か」
「生きている限りな。次がある」
 彼はそれを言う。
「何度でも戦えるさ、生きている限りな」
「生きていれば」
「ああ、だから西へ行くんじゃないか」
 ヘンドリックだけでなく他の仲間にも言った。
「そうじゃないのか」
「そうか」
「そうだ。だから行くぞ」
「よし、じゃあ西へ入ったら不時着だ」
 ブラウベルグが言う。
「それでいいな」
「ああ。じゃあ行くぞ」
「よし」
「ドイツはもう負けだ」
 アルトマンはそれはわかっていた。他の者達もだ。
「けれどな」
 それでも彼は言う。
「生きていればな」
「生きていればか」
「また戦える。そして今度こそは」
「イワンもヤンキーも見返してやる。そうだな」
「そうだ。じゃあ西だ」
「生きる為に」
「また戦う為にな」
 彼等は翼を翻した。そのまま西へと消えていく。ベルリンが陥落しようとし、ヒトラーも自ら命を絶つ。そんな中での最後の戦いを終えて。次の戦いの為に今は生き残るのであった。大空の騎士として。


空の騎士達   完


                
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