ディバイティング:空白
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に伴い、全身を強烈な寒気が包み始める。徐々に暗くなる視界の中でライトの様子を確かめる。
傷はある程度治っては来ているものの、それは完全とは言いがたい。
「お姉様、まだ行けますか!?」
ユリアが言う。
「……私を、誰だと?これくらいで根をあげないわよ?」
そうは言うものの、段々と身体の感覚が消失し、すでにユリアに握られている手しか感覚が感じない。
「ユリア、ギリギリまで使って……!」
「お姉様、それは危険よ!そうしたらお姉様の天命が……!」
「構わない!!」
私は叫ぶ。命懸けで救ってくれたライトに、命懸けで救わなければ意味がない。
「ユリア、やりなさい!!」
「……っ!解った!!」
ユリアは更に手を握り、とうとう感覚すらも消えて、暗闇に放り込まれた。
ライトSaid
『……っ。ここ、は』
俺は起き上がって言う。
辺りは暗く、そして何も見えない。
『……ここは精神世界。何回も来ただろ?』
俺の目の前にロードが現れた。
『ロード……』
『全く……死ぬ気かい、ライト。今、死の淵に足を踏み入れてる様な状態だよ現実の君』
ロードは呆れて言う。
『……仕方ねぇだろ。ユリアを救うのに必死だったんだから』
『無茶無謀。今の君にお似合いの言葉だね』
『んだ……』
殴り掛かろうとすると、ロードが銃剣を此方に向けた。
『……どういうつもりだ』
『見た通りだよ。……ライト、もう良いだろ。一つに為ろう?』
ロードが俺に言う。
『ゲン、僕は君の性格から生まれた人格だ。君の素体じゃ、もうこの先は不可能だよ』
『……っ!そんなの……』
『やってみなくちゃ解らない、かい?残念だけど目に見えてるね。君が殺られ、ユイリとユリアまで殺される』
『……』
俺は黙りこくった。
『……確かに君は強いよ。素体のままで、性格の融合などもし続けてきた。けど、もう良いだろ。元に戻ろう?』
『……そうだな』
俺は言う。
『……君の決断に感謝するよ。ライト』
俺の目の前に立ち、手を俺にかざす。
『お別れだ。最後に一つ、言っておくよ』
ロードが笑いながら言う。
『案外、悪くない生活だったよ。君があの世界で僕を作っていなければ、出来ない体験だったよ。ま、デストの件はさておいても、ね?』
『……俺も、お前と言う性格は嫌いでは無かったよ、ロード』
そして、ロードの身体が淡く光り始める。
『『お別れだ。最後に、ありがとう。最後まで付き合ってくれて』』
そして、ロードが俺の中に消えた瞬間、俺の目はロードの髪の色と同じ、赤になった。
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