第五章
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にはさせませんよ」
「そうでありたかったな、最後まで」
だがそれに対する司令の言葉は寂しいものであった。
「全く。こんなことになってしまうとは」
「言っても仕方ありませんよ」
今度はヘンドリックが言う。
「今更何を言ってもね」
「そうか」
その言葉は司令を落胆させるには充分であった。だが彼はそれでも述べた。
「しかしだ」
「ええ」
七人はそれに応える。
「最後の最後まで戦うのがな。ドイツ人だ」
「そういうことですね」
シュトラウスの目が光った。
「じゃあ行って来ます。最後の一弾までね」
「頼むぞ。ただしだ」
「ただし!?」
「誰も死ぬな」
これが司令の最後の願いであった。
「いいな、最後まで生き残るんだ」
「これでルフトバッフェは終わりなんじゃ」
ハイトゥングがそれに問う。
「もうこれで」
「それでもだ」
だが司令はそれでも彼等に対して言う。
「生きろ。また戦う時が来るかも知れない」
「わかりました」
七人はそれに頷く。そしてアルトマンは言った。
「けれど司令」
「何だ?」
「今度戦争する時は」
「ああ」
司令は彼の話に耳を傾ける。アルトマンも話を続ける。
「イワンにもヤンキーにも。誰にもドイツの空は自由に飛ばせませんよ」
「そうだな」
司令は彼のその言葉に頷いた。
「きっとそうしよう。では」
「ええ」
七人は一斉に立ち上がり敬礼を司令に送る。
「出撃します」
「健闘を祈る」
彼等は互いに敬礼した。ドイツ式の敬礼であった。それは確かにナチスの敬礼である。だがそこにあるのは。紛れもないドイツの心であった。
そのドイツの心を持つ七人の騎士が大空に旅立った。基地の者達はそれを見届けるとすぐに慌しく撤退の準備に取り掛かった。
「おい、急げ」
「アルトマン少佐達が戦っている間に退くぞ」
「ああ」
彼等は口々に言い合い車に乗っていく。機器は破壊し滑走路はダイナマイトで壊し使えなくした。そうしてから撤退していくのであった。
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