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【銀桜】4.スタンド温泉篇
第2話「大切なのは信じる気持ち」
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づいてます!!)
(ととんでもねェ。俺たち……とんでもねェ所に足を踏み入れちまった。この温泉宿はあのババアが飼い慣らした死霊どもが巣食う『死の温泉宿』だったんだ!!)

“ダン”

 直後、襖を蹴破って旅館の外へ一目散に走り出す銀時と新八。
 仙望郷の真実を知った者たちは、全速力で雪道を駆け抜ける。
「脱出だァァァァ!!一刻も早く!!山を降りるんだァァ。こんなトコ長居すりゃ確実に死霊どもの餌食だぞ!長谷川さんの二の舞だァァ!!」
「はいィィィ!!」
 もはや怖いと言っているレベルではない。
 二人は走る。
 死の温泉宿から抜け出すために。
 恐怖のどん底へ堕ちてしまう前に。

 しかし逃亡は無意味だったのを知る。
 仙望郷から下界へ繋がる唯一の山道は、巨大な落石によって完全に塞がっていた。
 死の温泉宿からの脱出の術を消した巨石を前に、二人はただ涙するしかなかった。

*  *  *

「銀ちゃん!!新八ぃぃぃ!!」
 裸足のまま素っ飛んで行った二人を神楽は呆れた表情で見届ける。
「アイツら旅行だからってはしゃぎすぎネ」
「男の子はいくつになってもワンパクなのよ」
「これだからガキは……。それより姉御!わたしこの旅館冒険したいアル」
「あらあら神楽ちゃんもワンパクね」
 年相応にはしゃぎながら、神楽はお妙と部屋から出て行った。
 現時点で洋式部屋にいるのは、自前の雑誌に目を通す双葉のみ。
 ふと彼女の視線は、雑誌から銀時たちが駆け抜けて行った外の景色へ移り変わる。
「ま、何も知らないのは、常に危険と隣合わせとも言えるか」

 口からこぼれた呟きを聞く者は誰もいなかった。
 彼女の視線の先でぶら下がる西洋スタンドを除いて。

=つづく=
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